日本怪談歌舞伎(Jホラーかぶき)
時超輪廻古井処(ときをこえりんねのふるいど) 貞子×皿屋敷」
2022年10月が3日~25日、大阪松竹座
伝統を守り続けるだけでなく、「スーパー歌舞伎」「超歌舞伎」と歌舞伎の世界ではさまざまな意欲的作品も上演されている。そんななかで、生まれたのがこの公演。
歌舞伎とホラー小説(「リング」シリーズ、作・鈴木光司)、そこから派生したJホラー(映画)の〝ヒロイン〟貞子とそのコンセプトがコラボレーションした。製作発表された時には、どうなるのか?
ベースになっているのは、歌舞伎の怪談ものとして知られる「播州皿屋敷」。あの「一枚、二枚~」で有名な「番町皿屋敷」(落語は「お菊の皿」)とは場所も時代設定も違うもの。「播州」のほうが陰惨さ濃く思え、この作品でも第2幕で、じっくりとお菊が責められ殺される姿が描かれている。
浅山鉄山を演じる片岡愛之助は8月の「東海道四谷怪談」(南座)で伊右衛門といい、悪役」づいている。今回も徹底して悪い奴を演じることで、異色のコラボ作品を演劇として引き締めている。
どうしても、歌舞伎の世界に目がいくが、「もう一方の主役」貞子にも注目した。というのは、長い黒髪に真っ白な服というビジュアルがさまになっているのは当然として、人間離れしたしなやかな動き、人間への恨みといった表現力も必要な大切な役。今回、貞子を演じているのは皆川まゆむ。プログラムには名前だけ掲載されているが、調べてみるとやっぱり!ダンサー、振付師として実績を持つ人。このあたりも、ちゃんと〝ホンモノ〟を起用している、こだわりはいい。
写真は(C)松竹
kabuki-bito.jp

追記 10月28日からは、シリーズ映画最新作「貞子DX」(出演・小芝風花、川村壱馬(THE RAMPAGE)ほか)を公開、一足早く、この作品の試写も観た。ここでも「古井戸」「呪いのビデオ」(現代が舞台だが、やはりDVD、ブルーレイではなくビデオ)、そして貞子という〝アイテム〟はそろっている。ただし、前述した歌舞伎が「ビデオを見て7日で死ぬ」というのに比べて、こちらは「24時間」。そこに新しく加わったのは、SNSと新型コロナを想像させるパンデミック。つまり、「呪いのビデオ」の映像がSNSで拡散され、それによって〝感染者〟が増えるのか?こういったことで展開していき、イマを象徴するように、怖いだけではなく、その間に笑いが軽いタッチで散りばまれている。私などは、やはり怪談はホラーは徹底して「おどろおどろしい」恐怖でないと(あまり好きなジャンルではないが…)と考えるほうで、特にシリーズ初期に感じた恐怖はちょっと薄れた気もした。ただし、お決まりの「次へ続く」ことを予想させるラストはなかなか奇抜でシャレていた。
映画『貞子DX』公式サイト|10月28日(金)公開 (kadokawa.co.jp)

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