少女歌劇団ミモザーヌ 夏公演
「Traveling Summer」
2022年8月18日 大阪・東大阪市文化創造館
8月23日 東京・大田区民プラザ
いまや「死語」になりつつある少女歌劇団。その発展形として、宝塚歌劇団(ルーツは1913年創設の宝塚唱歌隊)、OSK日本歌劇団(1922年に創設の松竹楽劇部)が現在も活動し、それぞれ熱狂的なファンがいる。そんな現象に興味を持つ、宝塚歌劇が誕生した後に、日本全国に生まれた同様の組織を調査、取材した「少女歌劇の光芒 ひとときの夢の跡」(電子書籍あり)という共著をかつて上梓した。その時に、吉本興業にも花月乙女舞踊団というグループがあり、経営する劇場で活動していたことを知った。
そうした経緯のなか、「サクラ大戦」シリーズの原作などで知られるマルチプロデューサーの広井王子さんと面識ができ、吉本興業と一緒に「少女歌劇団ミモザーヌ」を創設することを知った。宝塚がスミレ、OSKがサクラなら、ミモザーヌはミモザを〝シンボル・フラワー〟に、2019年にスタート。在籍しているのは11歳~19歳で、20歳になると「卒業」しないといけない、まさに少女だけの歌劇団。創設からまもなくコロナ禍に見舞われ、公演などが中止(オンラインに切り替え)、その間に20歳を迎え、卒業する人もいたりしての紆余曲折があった。そんななかで、実現した夏公演。みんな心身ともに成長したな、とまずは父親、(おじいちゃん)的な感慨にも…。
1部は2人の進行で、世界へ旅に出るという内容。これによって、さまざまなタイプの唄や踊りが展開できるわけで、言ってみればミモザーヌ版「モン・パリ」といったところか。フラメンコやアラビア風の「アブダカタプラ」や「夜来香(イエライシャン)」とさまざまな趣向がテンポよく繰り広げられる。そのあいまに、2人の芝居が少しあって、それもなかなか自然。将来的には、こうした狂言回しだけではなく、さらに複雑な設定で芝居と歌、ダンスがバランスよく構成される
「歌劇」になる可能性をうかがわせた。ただし、劇中に男性の声が登場する必然性は? あれは女性の声のほうが、しっくりしただろう。
第2部、吉本所属のアキナ(18日夜の部)が登場してのフリートークは〝素顔〟が見られる趣向としておこう(笑)。見どころだったのは、津軽三味線の北村姉妹の生演奏に乗せてのシーン。ダイナミックな演奏とダンスがマッチしていた。また、それに合わせて、浴衣姿で「おてもやん」を披露。日本ものにも
適応できると感じた。
アイドルグループのコンサートなどは未見のため、感覚的なものになるが、既存の歌劇団ではないし、アイドルグループでもない独自の方向性があるだろう。毎回、1つの大きな設定があり、そこで歌と踊り、演技によってドラマチックでな世界を展開するといったものもできるだろう。そのためには、アイドルにありがちなユニゾンではなく、ハーモニーでじっくり聴かせる楽曲も増やしてほしい。9月からは1カ月に1回、定期公演もするそう。ファンを増やすのは必然だが、焦らずにじっくりと育って欲しいと願っている。
About | 少女歌劇団ミモザーヌ (showjokagekidan.com)

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