「アキラとあきら」
2022年8月26日公開
監督・三木孝浩
数字に弱いので、「金融もの」「銀行もの」「企業もの」というと、専門用語もわからず、途中で「迷子」になってしまうことがある。そんななか、池井戸潤の原作ものは、テレビシリーズ「半沢直樹」は夢中で見ていたし、WOWWOWが制作、放送した「アキラとあきら」も次回はどうなるか?!楽しみにしていた。その時は、大企業の御曹司、階堂彬を向井理、父親が経営する町工場が倒産、苦労して育った山崎瑛を斎藤工が演じていた。
この映画もWOWOWと東宝などが製作。横浜流星、竹内涼真がそれぞれの役を演じている。しかも、彬の父親で大企業社長の階堂一麿をテレビ版と同じく石丸幹二が演じていて、冒頭に模型の船を示しながら、幼い彬と弟に経営について語るシーンは、デジャヴ(既視感)もあった。
銀行員になったアキラとあきら。自分の生い立ちから、懸命に働く人を支援しようとする瑛、常にクールに判断する彬と対照的な2人が、互いに認め合い、大企業の倒産という危機に直面する様子がドラマチックに描かれる。仕立てのいいスーツを着た彼ら銀行員はカッコいいが、むしろ市井の人たちに惹きつけられた。1人は瑛の工場に勤めていた工員を演じた塚地武雅。倒産後の彼の消息が中盤に描かれるのだが、それがいい場面。また、難病の娘の手術代を懸命に貯めている工場経営者役の宇野祥平、ホテルを建てて兄を見返そうとする一麿の弟たちを演じたユースケ。サンタマリア、児嶋一哉もいい!
そんななか、池井戸ドラマでおなじみ?の「土下座」が登場するが、ひれ伏す様子はドラマチックではあるが、誰がやってもあまり気持ちいいものではないだろう。
2時間強にわたって、アクションもなく、エピソードが積み重なるそれが伏線になりクライマックスに突入、はらはらどきどきさせられた。三木孝浩監督作品は、この夏「今夜、世界からこの恋が消えても」、「TANG」と次々と公開、今後も注目したい。

映画『アキラとあきら』公式サイト|2022年8月26日(金)公開 (toho.co.jp)

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