「乙女たちの沖縄戦~白梅学徒の記録」
2022年8月2日から公開
戦争に翻弄された女学生の実話を描いた映画、と言えば、繰り返しリメイクされている「ひめゆりの塔」がよく知られている。沖縄師範学校女子部、沖縄県立第一高等女学校からなる、「ひめゆり学徒隊」の姿を描いたもの。一方、この映画は、沖縄県立第二高等女学校4年生56人で編成された「白梅学徒」をテーマに、体験者たちのインタビューを収録したドキュメンタリー(約90分)と再現ドラマ(約30分)で構成されている。
厳しい状況のなかを生き抜いた90歳を超える女性たちが語る、想像を絶する体験。ただ彼女たちを映し出しているだけなのだが、悲惨な様子が頭に浮かんでくる。それは、後半の再現ドラマ(フィクション)とは比べものにならない。その話を、「戦争を知らない」若い女優・森田朋依が聞き、沖縄の現地を訪ねる。真剣に話を聞きいる彼女の表情などから、それは真に「心をゆすぶられた行動」なのは、よくわかる。ただ、かぶっているキャップ(帽子)にはBTSファンを象徴する「ARMY」というロゴが映し出される。それがどうした? と思う人もいれば、ジェネレーション・ギャップと片付ける人も多いかもしれないが、私はその「無意識」(スタッフを含め)がとても気になる。いみじくも、このことが、戦争から長い時間を経ていることを物語っている気さえした。
話題は変わるが、この映画を観て、あるノンフィクションとそれを原作にした舞台がダブってきた。「チンチン電車と女学生」という作品。場所は広島、戦時下で運転士ら男性が出兵するなか、チンチン電車の運転士、車掌は広島電鉄家政女学校」に通う14歳から17歳の女学生たちがつとめていた。この「幻の女学校」の存在を堀川惠子が取材し発表した同名ノンフィクション、それを舞台化したミュージカル(脚本・髙橋知伽江)がある。初演の前に、稽古場で観る機会があったのだが、原爆投下の光で芝居が終わると、こらえきれず涙があふれでた。この作品は再演が繰り返されていて、今年は11月に広島で上演されることが決まっている。
映画や演劇といったスタイルでも「語り継ぎ」ことが大切だろう。
映画「乙女たちの沖縄戦~白梅学徒の記録~」 (otometachinookinawasen.com)

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