映画「宇宙人の画家」
2022年7月22日からシネ・リーブル梅田、29日からアップリング京都で公開

高校時代から自主映画を撮っている保谷聖耀監督(22)の長編第2作「宇宙人の画家」(プライトホース・フィルム配給)が22日から大阪のシネ・リーブル梅田、29日からアップリング京都で公開される。田舎の町を舞台に中学生たちと国際犯罪組織が絡んで展開するSFサスペンスで「光と闇の先にあるものを見つける実験映画になった」と保谷監督は話す。
岐阜県恵那市生まれ。恵那高校時代に短編映画を撮り地元映画祭で熱血賞を受賞。同時期レンタルビデオ店で借りたアンドレイ・タルコフスキー監督の「惑星ソラリス」を見て映画監督を目指す。「子どものころは絵を描くのが好きで美大に行くつもりだったが、京大文学部に入り宗教哲学を専攻しシネマ研究会に所属。現在、アップリング京都というミニシアターでバイトをしながら通学しています」
SF中編「泉」を制作した後、3時間の長編「クールなお兄さんはなぜ公園で泥山を作らないのか」を撮った。空を飛ぶ能力を持った少年の妄想と幼少の記憶が混雑する話で今回の新作につながる。石川県の「カナザワ映画祭」に出品しグランプリを獲り次作のスカラシップ権を得た。「昨年の3~4月に脚本を書きゴールデンウイークの10日間で撮影した」と振り返る。
裏日本のK市が舞台でラッパーの青年(呂布カルマ)が「虚無ダルマ」という人物に変身するところから始まる。アメリカのスパイ(渡邊邦彦)がやって来て現地の部下と謎の行動に転じ、一方で中学校に舞台を移し転校生のオサムと仲間の学園ドラマと重なっていく。「最初2つの物語をパラレルワールドで描くつもりだったが、それをクロスさせる構成に変えた。コンセプトは変えずスケール感が出たと思う」
「撮影時に混乱はあったが、撮影後のポストプロダクションの音響設定と編集に時間をかけなんとか完成させることができた」と笑みがこぼれる。「虚無ダルマ」というのがキーポイントでそれが発する「白い光」が物語を照射する。「光は明かりであり闇でもある。閃光で浄化される世界。後半一部は自分で絵を描いて映像を作りスペクタクルな展開につなげた」
好きな映画はスタンリー・キューブリック監督の「2001年宇宙の旅」、デイヴィッド・リンチ監督の「マルホランド・ドライブ」など。「僕もSFファンタジーの大作を撮ってみたい」と将来を見据える。

写真=「子どものころからヒーローものが好きだった」と話す保谷聖耀監督

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