OSK日本歌劇団「レビュー in Kyoto」
2022年7月8日から18日
京都・南座
「女性ばかりの歌劇団」と言えば、まず宝塚をイメージする人も多いが、もう1つ、大きな規模でしかも定期的に公演を行っているOSK日本歌劇団がある。松竹(大阪)が結成し、その後にさまざま経営母体が変遷し、一時は存続の危機さえあったが、今年100周年を迎えた。その記念公演が大阪松竹座に続いて、京都でも上演された。
第1部は京都にちなんだ「陰陽師」。トップスターの楊彬(やんりん)が安倍晴明を演じて都の怪異に挑む。「陰陽師」ものは数々あるが、これは夢枕獏の同名シリーズを、歌劇団で数多くの作品を手がけている北林佐和子が作・演出。2001年にいまはない近鉄劇場などで上演された「闇の貴公子」(当時は2人トップ制で、晴明を那月俊、源博雅を洋あおいが扮した)をベースにした作品。晴明を演じる楊は、天草四郎?のようなりりしい立ち姿で、剣をもった動きには、変面など中国的なポーズも決まり、ドラマの「中心」を印象付ける。個人的には酒呑童子や北摂の伝承話で知られる茨木童子も登場して、ダイナミックで妖しい物語を展開。願わくば、1時間では短く、次はもう少し長尺でもみたいもの。
第2部は松竹座でも上演したショー「INFINITY」で、作・演出は元宝塚の荻田浩一。
昔から〝ダンスのOSK〟と言われ、〝レビュー〟という言葉には、いろいろなシーンを脈絡なく〝お見せ〟する意味も込められている。「パダム・パダム」などのシャレたシャンソンから、アメリカのポピュラー、ジャズでのタップダンス。そして、脚を上げるときに軸足も少し浮かせるというOSKならではのラインダンスと、まさに〝理屈抜き〟に展開していく。ただ、ひとこと言うならば、ソロではまだまだ不安的な音色、張り詰めた高音も聴かれて、ここは課題。
そして、カーテンコールは、おなじみの「さくら咲く国」。ピンクのパラソルを開け閉めして歌うこのフィナーレは、初めてOSKを観る人にも、宝塚の大階段にも匹敵するような〝売り〟になる。
100周年という節目とあって、「少女歌劇」もテーマにしている私にも取材、コメント依頼などがある。先月は会員でもある日本演劇学会の全国大会でパネラーをつとめ、日本経済新聞や関西以外の地域の新聞社からは「OSK」が存続している秘訣などのコメントを求められた。その際に話すのは、「宝塚と同様に養成学校があり、〝促成栽培〟ではない育て方をしている」こと。この舞台では、第98期生2人が初舞台を踏んだ。
阪急沿線のほうを注視している取材者が多いなか、自分は〝旬〟のときだけ目を向けるのではなく、OSKも長く、かつファン目線ではなく冷静にウォッチングしていきたいと、再確認した公演だった。
2022年創立100周年記念 南座「レビューin Kyoto」(上演時間追加) | OSK日本歌劇団 (osk-revue.com)

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