米映画「炎のデス・ポリス」
2022年7月15日から全国ロードショー
スコットランド出身のジェラルド・バトラー(52)という俳優が出ている映画を見てよく元気をもらう。名前が知られるようになったのは「オペラ座の怪人」(2004年)だったが、「300〈スリーハンドレッド〉」(06年)で演じたアクション・ヒーローがカッコよく「エンド・オブ・ホワイトハウス」(13年)などにつながり自ら製作にも顔を出し、彼好みのバトラー映画が形作られるようになっていく。
海洋アクション「ハンターキラー 潜航せよ」(18年)、SFアクション「クリーブランド 地球最後の2日間」(20年)は娯楽色が強く楽しい作品で、後者で演じた父親像は出色であった。そして2年ぶりに登場したのが「炎のデス・ポリス」で、タイトル通りのポリス活劇。ネバダ州の砂漠にあるガンフリーク警察署内で起きる警察官と犯罪者の激突を描くノンストップアクションが見どころだ。
ここの署長はうるさ型でいつも署員をどなっているが、真面目な女性警官のヴァレリー(アレクシス・ラウダー)は健全そうで周囲から一目置かれている。ある夜、ヴァレリーはマフィアに追われている詐欺師のテディ(フランク・グリロ)を逮捕するが、同時に酔っ払いで捕まったボブ(バトラー)も署の同房に収容される。向かい同士の房に入った2人の不穏な様子に気づくヴァレリーと、署内で対立する署長と署員らの駆け引きがスリリングに絡んでいく。
実はボブはテディの命を狙うマフィアに依頼された殺し屋で、静かな対峙の時間も束の間。もう一人、サイコパスの殺し屋アンソニー(トビー・ハス)もやって来て署内が激しい銃撃戦の場に早変わりする。ヴァレリーが負傷してボブとテディの2人のどちらを信じるかがポイントで、そこからどんでん返しのクライマックスまで気を緩める時間はない。「特攻野郎Aチーム THE MOVIE」(10年)のジョー・カーナハン監督のアクション演出が見事。
バトラーとグリロの内面の対立芝居とアクション、それにラウダーの警官が最後までハラハラさせてくれる。製作も兼ねるバトラーの映画作りの妙がここにある。キノフィルムズ配給。
※写真説明=「炎のデス・ポリス」のジェラルド・バトラー(C)2021 CS Movie II LLC. All Rights Reserved.

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