「ハケンアニメ!」
2022年5月20日公開
面白い日本映画2本が20日から同時公開される。吉岡里帆(28)が新人アニメ監督で大奮闘する「ハケンアニメ!」(東映配給、吉野耕平監督)と、中井貴一(60)が時代劇と現代劇2役で大熱演する「大河への道」(松竹配給)。共にパワーあふれた大阪出身の中堅監督の作品である。
「ハケンアニメ!」は直木賞作家の辻村深月原作を映画化。公務員だったアニメファンの主人公・斎藤瞳(吉岡)が過当競争時代の業界に転身し第1作「サウンドバック 奏の石」の監督に抜擢されて頑張る姿を描く。プロデューサー(柄本佑)ら厳しいプロ集団の中で葛藤する新人監督を吉岡がリアルに演じてハラハラドキドキさせる。憧れだった天才監督の王子千晴(中村倫也)の作品「運命戦線リデルライト」と同日公開になり、出来具合と興行成績で争う対決が壮絶に描かれる。
日本のアニメ業界の裏舞台と製作プロセスがのぞけると同時に、それが出来上がるまでにいかに多くの人の力が必要かが分かる。東映アニメーションが監修に当たっている劇中アニメ2作も見どころ。吉岡の孤軍奮闘ぶりは必見で、柄本、中村が格好よく、尾野真千子のマネージャー役も光っている。
写真説明①(左から)柄本、吉岡里帆、中村倫也、尾野真千子(C)2022映画「ハケンアニメ!」製作委員会
映画『ハケンアニメ!』公式サイト (haken-anime.jp)

「大河への道」
2022年5月20日公開
「大河への道」は立川志の輔の新作落語「大河への道―伊能忠敬物語―」の映画化。これを企画したのが主演の中井で、日本初の実測地図「大日本沿海興地全図」を作った忠敬の話を江戸時代と現代令和の時代を結んで描いた異色ファンタジー。忠敬の郷土である千葉県香取市市役所総務課主任の池本(中井)が観光振興策のため「忠敬の大河ドラマ製作」の企画を立ち上げるところから物語は始まる。ベテランの脚本家(橋爪功)が地図誕生は忠敬死後3年だったことでその経緯を調べ、物語は江戸時代にタイムスリップする。
令和の池本主任が江戸時代では幕府役人で地図作りを管轄するまげ姿の高橋景保に変身し、部下の木下(松山ケンイチ)も又吉という名の子分になる。結局、忠敬の死を隠し景保らがいかに中途の地図作りを継続し完成させるかがスリリングに描かれる。忠敬は出てこないが、観光課の小林(北川景子)が忠敬の妻として出てくるほか令和から昭和へと他者も集団移動する。コメディタッチが面白くラストは感動的だ。
「ハケンアニメ!」「大河への道」の吉野、中西の両監督が大阪出身というのは偶然ではないような気がする。

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