「Marry Me マリー・ミー」

         2022年4月22日公開

 ずばり!のタイトル。しかも、ヒロインステージで熱唱する新曲も同じで、言うまでもない、ラブ・ストーリーが演じるスーパースターのバルデス(ジェニファー・ロペス)とバツイチ数学教師のギルバート(オーウェン・ウィルソン)という環境の違う2人が愛を育てていく姿を描いていく。その出会いが、こんなことないだろうという、奇跡のように〝ドラマチック〟。大観衆の中、ステージからスーパースターが、友人や子供の付き添う感覚で来ていた男性を「マリー・ミー」と指名するのだから。突然の指名に「イヤイヤ~」と拒否すると、ストーリーは成り立たない。そして、高校教師は一躍「時の人」に。ちょっと無理がある展開だが、これについていけると、多少の紆余曲折はあるものの、さまざまな楽曲、華麗なステージ、ラブ・ストーリーの予定調和もあって理屈抜き楽しめる。

 ちなみに、だんだんと心惹かれていく2人が歩きながら話すシーンで、育ってきた環境の違いを表す会話がある。「初めて観たステージは?」と聞くバルデスに、「母親と一緒に行った『キャメロット』」と答えるギルバート。アーサー王伝説を描いたミュージカルで、親が子供に観せるのにふさわしいお行儀のいい作品で、ギルバートの「育ち」を象徴している。さらに、バックにオペラチックな『キャメロット』の挿入歌が流れ、「ロバート・グーレの歌声ではダンスが踊れないね」というセリフも。この作品は1960年にジュリー・アンドリュース、リチャード・バートンが主演でブロードウェイで初演され、共演には後の「猿の惑星」にも出演するロディ・マクドウォールと共に、ロバート・グーレも出演。僕などは、「ブルーライト作戦」といったテレビドラマに出ている姿を覚えているいるが、近年では「トイ・ストーリー2」で主題歌「君はともだち」を歌っていた。劇中、ギルバートが観たのはもちろん初演ではなく、再演なのだろうが、こんな何気ない会話?から、ネットサーフィンのように、記憶や思い出が浮遊していくのも映画の楽しみ。

Universal Pictures Japan

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