「バブル」

         2022年5月20日公開

 少年時代は漫画少年。小学校の同級生と、それぞれ毎週買っていら「少年サンデー」と「少年マガジン」を読み終わった後に交換したり、映画「サスケ」を観て観劇、「アニメを作ろう!」と8ミリで試してしたりもしていた。後にその同級生は初志貫徹、漫画家になって「コロコロコミック」などに「ウルトラマン」のコミカライズを書いたりもして、いまも交流している。ということで、アニメも大好きだったけれど、年代的には「アトム世代」。この仕事を始めてからも観る機会も多く、スタジオジブリ作品あたりまでは、付いていけたけれど、いまの作品は複雑な設定やストーリーに感じて、ちょっと敬遠していた。

 そんななか「バブル」は、輪郭がはっきりしていて楽しむことができた。まず1つは、「パルクール」という競技が登場すること。どちらが早く到達するかという、とてもわかりやすいもので、それをアニメという特性を生かして自由自在に走り飛び回る爽快感(ちょっと恐怖感)もあり、それだけでもアトラクションを体験するような爽快感がある。そして、もう1つは、水の精(人物名「ウタ」)という存在。バブルがゆったりと浮かぶ荒廃した近未来・東京に突然に現れた謎の少女。中盤あたりで、「彼女は人魚姫」?というイメージが浮かんできて、

言うまではないけれど、「人魚姫」の物語はアニメやミュージカルになった「リトルマーメイド」の原型。献身的に人間を愛するというストーリーはドラマチックで好きな物語だから、より「身近」に感じてきた。ただし、欲を言えば、ウタに「人魚姫」の絵本を読んで聞かせるというシーンがあって、それは説明過剰剰、少し親切すぎる気も。もう少し終盤に「種明かし」?すればとも思った。

 ちなみに、水の精といえば人魚姫のほか、「オンディーヌ」という舞台もあり、舞台をはじめ最近では「水を抱く女」というフランス映画も。この作品を観にいく人はアニメそのもののビジュアルやスタイル、出演する声優たちを楽しみに観る人がほとんどだろうけれど、視点をずらすと、こんな楽しみ方もあるだろう。

写真・©2022「バブル」製作委員会

映画『バブル』オフィシャルサイト (warnerbros.co.jp)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA