映画をはじめ、演劇関係も取材を続けているので、前作「ウエストサイド物語」(1961年)はもちろん、劇団四季バージョン、宝塚バージョン、他のカンパニーや海外キャストバージョンなども観ています。それだけに、スティーブン・スピルバーグ監督によって、どのようになるのか楽しみ(少し不安)がありました。結論から言うと、これまでの作品をリスペクトしながら、時代設定はそのままであるものの、現代にも通じる人種問題、若者の熱情、一途に突っ走る愛などを丁寧に、少し深堀した新たな作品になっています。

 リスペクトで言えば、「空撮」によるニューヨークの風景を映し出し、だんだんと人物に焦点が当たるオープニングがそうです。ただし、そこに映し出される光景は、リアルな描写なのが、「時代背景を1950年代」と設定していながらも、現代により通じるドラマにしたい!という監督の想いを受け取りました。リスペクトという面では、欲を言うと、ジェローム・ロビンス振付による、「鉄柵を逆立ちポーズを交えて乗り越える」あの独特のアクションも残して欲しかった気もします。

 トニーとマリアの出会いのシーン。これまでは偶然に「ダンス相手」になって互いを認識する…というのが多かったのですが、今回はその前に、トニーがマリアを「見つける」というふうで、ダンス場の裏側で会うというふうに変更されています。この改変にはちょっと疑問が…。ここはやはり、突然にダンスパートナーになり、互いが「一目会った、その瞬間」というほうがドラマチックだと思えますし、マリアがいきなりトニーにキスするのもちょっと積極的すぎる?

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