映画をはじめ、演劇関係も取材を続けているので、前作「ウエストサイド物語」(1961年)はもちろん、劇団四季バージョン、宝塚バージョン、他のカンパニーや海外キャストバージョンなども観ています。それだけに、スティーブン・スピルバーグ監督によって、どのようになるのか楽しみ(少し不安)がありました。結論から言うと、これまでの作品をリスペクトしながら、時代設定はそのままであるものの、現代にも通じる人種問題、若者の熱情、一途に突っ走る愛などを丁寧に、少し深堀した新たな作品になっています。
リスペクトで言えば、「空撮」によるニューヨークの風景を映し出し、だんだんと人物に焦点が当たるオープニングがそうです。ただし、そこに映し出される光景は、リアルな描写なのが、「時代背景を1950年代」と設定していながらも、現代により通じるドラマにしたい!という監督の想いを受け取りました。リスペクトという面では、欲を言うと、ジェローム・ロビンス振付による、「鉄柵を逆立ちポーズを交えて乗り越える」あの独特のアクションも残して欲しかった気もします。
トニーとマリアの出会いのシーン。これまでは偶然に「ダンス相手」になって互いを認識する…というのが多かったのですが、今回はその前に、トニーがマリアを「見つける」というふうで、ダンス場の裏側で会うというふうに変更されています。この改変にはちょっと疑問が…。ここはやはり、突然にダンスパートナーになり、互いが「一目会った、その瞬間」というほうがドラマチックだと思えますし、マリアがいきなりトニーにキスするのもちょっと積極的すぎる?
日刊スポーツ新聞社文化部記者を経て、1990年に独立。 新聞や雑誌などで執筆活動を続けている。主な著書には 『宝塚BOYS』 として舞台化もされた 『男たちの宝塚』 や 『宝塚 幻のラインダンス』 『少女歌劇の光~ひとときの夢の跡』 (共著) 『河内家菊水丸 秘宝の舘大全集』ひとときの夢の跡』 (共著) 『河内家菊水丸 秘宝の舘大全集』(監修を担当)などがある。FM大阪 「おとなの文化村」 出演 (終了)、文化庁芸術祭 大衆芸能部門 (関西) 審査員を歴任。 日本映画ペンクラブ会員。 日本演劇学会会員。 なにわ名物開発研究会会員。シネマコミュニケーター講座 講師などをつとめている。