「A CHORUS LINE コーラスライン」
日本プレミア公演 2025年9月8日~9月22日 東京建物 Brillia HALL
仙台公演 9月27日、28日 仙台サンプラザホール
大阪公演 10月2日~6日 梅田芸術劇場メインホール
東京凱旋公演 10月10日~19日 シアターH
いまから40年以上前、まだ演劇世界とは無縁だった頃、劇団四季で上演していたこのミュージカルを観たくなった。なんとか入手した京都会館の最後列にあったバー(横棒)に寄り添いながらの立ち見(その頃は許されていた)で観たのをいまでも覚えている。当時としては珍しかったダイナミックなダンスに驚いた。それと同時に、ほとんど客席後方に設営された演出家席から、ザックがダンサーたちに指示をする演出にも注目した。当然、観客は舞台上に集中しているのでわからないが、ザックが声だけではなく、もちろんダンサーたちの言葉、動きに反応する演技を「目撃」することができた。最後列(立見)のおかげ。その後、新聞記者、ライターになってから親交ができたザック役の浜畑賢吉さんにそのことを話して盛り上がったのもいまになってはいい想い出(浜畑さんは2024年に逝去)。
もともとこの作品は、ダンサー、振付師、演出家でもあったマイケル・ベネットが、ダンサーたちにインタビューした(「ブロードウェイ物語」として単行本)を基に、1975年4月15日、ワークショップの形で公演を開始、同年7月25日にニューヨーク・ブロードウェイのシューバート劇場で開幕、1990年4月28日の閉幕までの15年間・6,137ステージに渡るロングランを記録した人気作。映画化もされたし、日本では劇団四季バージョンをはじめ、これまでに2度、来日公演行われた。
今回の海外バージョンは、ニューヨークではなく2024年にロンドンで上演された新演出版。開演前、車が行き交う音などが、場内に「自然」に流れ、開幕寸前には、オーディションを待つダンサーたちの動きや息遣いも。そんな「演出」で、このドラマがニューヨークの片隅のスタジオで行われている臨場感を増している。演出家ザックを、アダム・クーパーが演じている。彼はバレエダンサー、俳優としても活躍していて、日本でも公演。一般的には、映画「リトルダンサー」のラスト、成人した主人公に扮して「白鳥の湖」を踊るシーンでも知られている。そんなスターを起用したこともあってなのか、このバージョンのザックは、多くの場面で「舞台上」にいる。帽子を持ち、有名な「ONE」の振り付けをするシーンなどがあるほか、オーディションに応募してきた元恋人のキャシーとの会話では、複雑な心の葛藤を表現している。
最終オーディションに選ばれたダンサーたちは、「多種多様な出自を持っている。実際の出演者もそうで、ラテン系、アフリカ系、そしてアジア系の俳優たち。例えば、日本人では中野加奈子、小林美亜がキャストに名を連ねている。この作品には、コニーというキャラクターが登場、そこにはアジア系が演じるのだが、今回、中野はそれとは違う役で出演しているのが興味深い。また。確かリッチーという跳躍力抜群のダンサーは、アフリカ系の男性が演じていたと思いうのだが、今回は女性に変更、それも違和感はない。さらに、「悔やまない」と歌いだすディアナは、「生真面目」な女性というイメージだったが、新演出ではまた違うキャラクター付をしている。
そんな「違い」を探していたが、それは些細なこと。「愛した日々に悔いはない」(劇団四季でのタイトル)の歌詞字幕、メロディーは、ダンサーという仕事だけではなく、私たちにも訴えかけてくる。休憩なし2時間の終演後、それと「ワン」口ずさんでいた。
〈ストーリー〉1975年、ニューヨーク。 舞台の新作ミュージカルのオーディション会場。 ステージ上には、1本の白い線が書かれている。 その線の前に、最終オーディションに残ったメンバーは17名。 最後の課題を渡される。 『自分自身について語ってほしい』 と。 そして、課題を渡すのが、新作ミュージカルの演出家・ザックである。 最終オーディションの面々は、多様な人生を歩んできており、誰一人として同じ回答をする者はいない。 自分の人生のシェアをするとき、 人は最高の主役であり、輝く瞬間を見るのであった。 そんなメンバーの中に、過去にザックと恋人関係にあったキャシーも、再び舞台に戻るためにオーディションに挑んでいた。
〈キャスト〉アダム・クーパー、ホリー・ジェームズ、ジョカスタ・アルムギル、ベラ・ボールドック、リディア・バニスター、ビリー・ケイ、チャーリー・ビショップ、リディア・ブラッドオリビア・フォスター・ブラウン、ブリアナ・クレイグ、マリア・クロフォード、ブラッドリー・デラロスベル、アーチー・デュラント、レミ・フェルディナンド、小林美亜、ジョシュア・レイジョシュア・リア、グレゴール・マッキャン、中野加奈子、マニュエル・パシフィック、アシュリー・ジョーダン・パッカー、レイチェル・ジェイン・ピカー、ネイサン・リッグ、トビー・セドンア、エイミー・ソーントン、ルーカス・アンジェロ・ワード、ホリー・ウィロック、ルイ・ウッド。
〈スタッフ〉原案・振付・演出_マイケル・ベネット。台本・ジェームズ・カークウッド、ニコラス・ダンテ。音楽・マーヴィン・ハムリッシュ。作詞・エドワード・クレバン。共同振付・ボブ・エイヴィアン。演出・ニコライ・フォスター。振付・エレン・ケーン。セットデザイン・グレイス・スマート。ミュージカル・スーパーヴァイザー・デイヴィッド・シュラブソール。衣裳デザイン・エディ・リンドレー。照明デザイン・ハワード・ハドソン。音響デザイン・トム・マーシャル。
主催・制作・TBS、読売新聞社、ぴあ、ローソンエンタテインメント、tsp。後援・TBSラジオ。協力・トリックスターエンターテインメント(東京建物 Brillia HALL公演)。仙台公演主催・仙台放送。大阪公演主催・MBSテレビ、 サンライズプロモーション大阪。企画招聘・tsp