「死の天使 ヨーゼフ・メンゲレ」
2026年2月27日、シネマート新宿、シネスイッチ銀座ほかで全国公開。関西ではテアトル梅田、京都シネマ、シネ・リーブル神戸ほかで公開
アウシュビッツ強制収容所で残酷な実験を行ったことで〝死の天使〟の異名を持つ医師ヨーゼフ・メンゲレの物語だ。原作は作家でジャーナリストのオリヴィエ・ケーズのベストセラー小説「ヨーゼフ・メンゲレの逃亡」。主役のメンゲレには『名も無き生涯』での演技が印象的だったアウグスト・ディールが扮している。
メンゲレは第二次世界大戦終結後、南米に逃亡。偽名で暮らしていたことが知られている。主演のアウグスト・ディールは、『名も無き生涯』では、柔らかな外見の中に闘志を秘めたキャラクターを作り上げた。独特の風貌で着実にキャリアを築いている俳優だが、今回は人間の多面性に加え、第二次大戦中にナチスが推進した、人種差別に基づく絶滅政策の中で「活躍」した中でも、際だって残酷とされる人物を慎重に演じている。哲学者ハンナ・アーレントが、ナチスの高官だった戦犯アドルフ・アイヒマンを、悪の凡庸さ—という概念で表現したことは、映画「ハンナ・アーレント」でも描かれているが、劇中のメンゲレにも、どこにでも居そうな人物で、とてもモンスターには見えないという特徴がある。
映画は、アウシュビッツ強制収容所での回想シーンをカラー映像、現在のシーンをモノクロ映像で映し出し、現在と過去を並行させながら、あの時代を切り取っていく。メンゲレをわかりやすく断罪する脚本では無いので、安易にカタルシスは得られないが、彼の内面の崩壊を分析的に描いて、戦争の本質に迫った。原作者のオリヴィエ・ケーズは、脚本にも加わっており『アイヒマンを追え!ナチスがもっとも畏れた男』の脚本も手掛けている。監督は2022年にロシアから亡命し、現在ドイツなどで活動している『LETO-レト-』などのキリル・セレブレンニコフ。
〈ストーリー〉第二次世界大戦後、戦争犯罪者の医師ヨーゼフ・メンゲレは、連合国の追及を逃れ逃亡した。ナチ残党の地下ネットワークなどを使い、数々の偽名で別人になりすまして南米で潜伏するが、ナチスの戦争犯罪への国際的関心が高まるにつれ、次第に追い詰められていく。
(2025年/フランス・ドイツ合作/2時間15分)
配給:トランスフォーマー
© 2024 CG CINÉMA / HYPE STUDIOS / LUPA FILM / CG CINEMA INTERNATIONAL / BR / ARTE FRANCE CINEMA