松竹ブロードウェイシネマ 2025秋 第1弾
「エニシング・ゴーズ」
2025年10月31日から なんばパークスシネマ、MOVIX京都、kino cinema神戸国際で1週間限定公開(東劇のみ2週間限定公開)
松竹からの試写案内でこの映画を観た。
ミュージカルに興味のある人なら、観たり聴いたりしたことがあるだろう「エニシング・ゴーズ」。それが「松竹ブロードウェイシネマ 2025秋」第1弾として映画館で楽しめる。タイトルの「エニシング・ゴーズ」(「Anything Goes」)は,日本語では「何でもあり!」という意味。そのとおり、豪華客船に乗り込んできた人たちは自由奔放で、好きなようにふるまい、恋をする。近年のミュージカルは「オペラ座の怪人」「レ・ミゼラブル」「エリザベート」などのように重厚でストーリー性にあふれる作品が多いが、その一方で、こうした古き良き時代を感じさせる楽しく明るい作品もあり、かえって新鮮にさえ感じる。
ちょっと作品の歴史を紐解くと初演は1934年で、56年にはビング・クロスビー主演で「夜も夜もすがら」という邦題で映画化された。そこまでさかのぼるまでもなく、日本では大地真央(1989年~91年、96年)、瀬奈じゅん(2013年)、紅ゆずる(2021年)と、いずれも宝塚元トップスターがナイトクラブの歌姫役で主演して上演、幸いにどれも観劇をしている。
この映画は2021年のブロードウェイ・プロダクション版舞台を収録したもので、主演のサットン・フォスターはこの演技で、第65回トニー賞でミュージカル主演女優賞に輝いた。(なお、同作品はミュージカル・リバイバル作品賞,振付賞も受賞)。
歌姫という設定だけに、客船内でのショー・シーンはもちろんのこと、若いカップルの中を取り持つなど、明るいキャラクターの女性を歌と踊りで表現。なかでも、コール・ポーターが作詞・作曲したナンバー「エニシング・ゴーズ」では大勢のダンサーをバックに、タップも披露。まさに、「ショー・ストッパー」(観客の拍手喝采が鳴り止まず、ショーの進行が一時的に中断してしまうほどのパフォーマンス)ぶりを発揮している(写真)。また、「フレンドシップ」のナンバーで彼女の相手を務めるのは、ムーンフェイスというギャングを演じるロバート・リンゼイ。。2人が肩を組んだり、「疲れた」とばかりに、ちょっと休憩?したりするシーンは観客との一体感が生んでいる。
このギャング、子犬(本物ではなくぬいぎるみ)を股間に隠したのはいいが、そこで暴れられて困る!という仕草が絶妙。忘れていたのだが、こんな演技にロバート・リンゼイとわかり、彼の主演舞台を生で観たのを思い出した。いまも、宝塚で上演を重ねているロンドン発「ミー&マイ・ガール」。剣幸で初演する前、1985年に、ロンドンのウエストエンドで観劇したのだが、そのバージョンでの主役のオリジナルキャストを務めていたのが彼だった。そこでは、首がついた虎の敷物に手を入れて「生きているように」操作するシーンは見事で、いまも鮮明に覚えている。このほか、度の深いメガネをなくしてよく見えない、というよくある設定もギャグに終わらせない投資家役、金目当てに娘を実業家と結婚させようとする老婦人役なども、出すぎることがない抑えた演技で、人間性を醸し出している。物語そのものはシンプルで、ポーターの覚えやすいメロディーと圧倒的な歌とダンスで一気に魅せる。楽しむと同時に、欧米のエンタテインメントの奥深さを味わえる絶好の機会になるだろう。
〈ストーリー〉大西洋を横断する豪華客船SSアメリカン号に乗り合わせたのは、ナイトクラブの歌姫、結婚を控えた実業家、犯罪者とその情婦など、多彩な旅客たちばかり。恋愛やトラブルが絡み合い、 ドタバタの冒険が繰り広げられる。
〈キャスト〉サットン・フォスター、ロバート・リンゼイ、 フェリシティ・ケンダルほか。
〈スタッフ〉作詞・作曲・コール・ポーター。監督・演出・キャスリーン・マーシャル、ロス・マクギボン。原作・脚本・P・G・ウッドハウス、ガイ・ボルトン。
英国/2021/ビスタ/138分/5.1ch/日本語字幕スーパー
「松竹ブロードウェイシネマ 2025 秋」配給:松竹 :©BroadwayHD/松竹
写真ⒸTristram Kenton ⒸCarol Rosegg ⒸPamela Raith
〈松竹ブロードウェイシネマ 2025秋〉
第1弾「エニシング・ゴーズ」 2025年10月31日から
第2弾「インディセント」2025年11月14日から
第3弾「タイタニック」2025年11月28日から
