『90メートル』
2026年3月27日公開
ヤングケアラーの青年の視点から、介護と親子関係を描いた人間ドラマである。主人公・佑は、母親の美咲と2人暮らし。幸せな毎日を送っていたが、高2の時に美咲が難病で体を自由に動かすことが出来なくなり、介護に追われるようになる。物語は佑が、大好きだったバスケ部をやめてからの心理を、マネージャーとのやりとりなどを中心に繊細に描いていく。監督自身の経験が入っているというシナリオだけに、佑が家庭の事情を、なかなかチームメイトに打ち明けられない、といった切実な表現が多い。
ヤングケアラーの苦しみが描かれている一方で、本作は親子の間の、ほのぼのとしたやり取りを描く。主人公達の家庭は母1人子1人だが、2人の心は健康で、周囲の空気を変えていく。自分の世話に時間をとられる息子に、母の美咲が「好きなようにしていい」と子供の背中を押す台詞は、監督自身の思想でもあるのだろう。主演の山時聡真の演技は印象深く、大森元貴が唄う主題歌「0.2mm」の歌詞も酔わせる。
〈ストーリー〉佑は小学生の頃からバスケットボールが大好きな少年だったが、母が難病を患ったことで、バスケットボールを辞めることになる。ヘルパーの支援を受けながら高校3年生になり、大学進学を考え始めるが、母の病状が気になって気持ちは揺れるばかり。そんな中、担任の先生から自己推薦での受験を勧められる。
(2026年/116分/日本)
配給:クロックワークス
©2026映画『90メートル』製作委員会