「嵐が丘」
2026年2月27日公開
配給の東和ピクチャーズから試写会の招待を受けて観た。
「嵐が丘」の著者と言えば、エミリー・ブロンテ。何度も試験に出て、「即答」できる。それほど、世界的に知られたベストセラー小説だが、ストーリーは? 聞かれれば、答えられない人も多いだろう。私もその1人。とはいえ、これを原作にした映画や舞台は数本観ている。映画では、ウィリアム・ワイラが監督、ローレンス・オリビエとマール・オベロンが主演した作品(1938年)をはじめ、ジュリエット・ビノシュとレイフ・ファインズが共演した作品(1992年、監督・ピーター・コズミンスキー監督)など。さらに、舞台版には、宝塚歌劇団月組の古城都、八汐路まりによるバージョン(1969年、演出・内海重典)、松たか子、岡本健一(2002年、演出・岩松了)などが。それらのいくつかを観たが、鎌倉・室町時代へ翻案した松田優作、田中裕子による映画(1988年、監督・吉田喜重)のおどろおどろした情念の世界は別に、キャサリンとヒースクリフの〝道ならぬ純愛〟が強調されていたような気がする。
そこで、この映画。原題に “Wuthering Heights” と引用符が付いているように、エメラルド・フェネル。フェネル監督自身の新たな解釈が込められた、これまでにない「嵐が丘」に思えた。デビュー作「プロミシング・ヤング・ウーマン」でアカデミー賞脚本賞を受賞したフェネル監督。あることをきっかけに、〝2つの顔〟を持つヒロインの執念ともいえる行動を描いた前作。娯楽性の高いスリラー作品に続いて今回は文芸作品に挑んだのだがある意味で共通点がある。絵画で言えば水彩画ではなく、こってりと絵具を筆につけて、鮮やかな筆致で描いた油絵といったところか。
ギシギシという不気味な音が鳴るオープニング。その音の原因である出来事を、大人たちと一緒に眺めている少女時代のキャサリンが、その後の運命を物語っている。キャサリンと彼女の父親に引き取られ育ったヒースクリフ。互いに成長し、別の男性と結婚したキャサリンの元に、ヒースクリフが再び姿を現す。別々にいた時間が2人の想いを燃え上がらせ、突き進んでいく。正直言って、私は寝取られた男性に同情もした。フェネル監督が思い描いた「究極の愛」。それを体現する2人の熱愛シーンが繰り返されることで、彼女たちへのシンパシーが高まるのか、それとも…。。私はキャサリンの夫に同情もしたが、ここが観る側に違いがでるところだろう。
〈ストーリー〉イギリスヨークシャーにある広大な高台・ 嵐が丘に佇む、 アーンショウ家の屋敷に住む美しい令嬢キャサリン (マーゴット・ロビー) と、 屋敷に引き取られた孤児ヒースクリフ (ジェイコブ・エロルディ)の身分の違うふたりは、幼少のころより心を通い合わせる。やがて大人になった2人は、互いを求め激しく惹かれ愛し合う。 だが永遠を誓った愛は、身分の違い 周囲の境遇、 そして時代の渦に飲み込まれ、予期せぬ道をたどる。
〈キャスト〉マーゴット・ロビー 、ジェイコブ・エロルディ、ホン・チャウ、他。
〈スタッフ〉監督 脚本・ エメラルド・フェネル 。製作・マーゴット・ロビー、トム・アッカリー、ジョシー・マクナマラン。プロダクションデザイン・ スージー・デイヴィーズ。衣装デザイン・ジャクリーヌ・デュラン。撮影・リヌス・サンドグレン。
配給: 東和ピクチャーズ・東宝
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