「50年目の俺たちの旅」
2026年1月9日公開
「50年目」というタイトルが心に響く。1975年から76年まで放送された「俺たちの旅」。中村雅俊が演じるカースケ、田中健のオメダ、グズ六◎、秋野大作のグズ六という3人を軸に、〝自分の人生〟をどう生きていくか模索する姿は、ほぼ同じ世代だった自分には共感することがたくさんあって、毎週欠かさず見ていた。全46話とは別に1985年、1996年、20023年に続編3作が制作され、そこでも自分の「今」とダブらせていた。いまでも、劇中に流れていた小椋佳が作詞・作曲した主題歌「俺たちの旅」がいまも流れるとそんな頃を思い出す。
そんな思い入れのある「青春ドラマ」が半世紀を経て、映画になって戻ってきた。70歳台後半を迎えた3人はもちろん、岡田奈々が演じるオメダの妹・真弓も元気!もう、それだけで嬉しい。みんなそれなりに年輪を重ねているけれど。なぜかカッコよく思える。もともとイケメンのカースケ、オメダはもちろんのこと、年上ながら軽薄にも思っていたグズ六も、彼なりの生き方を貫いて、そう思えた。劇中には、これまで放送していたドラマ(特別編も含めて)が随所に登場、オーバーラップしてくる。例えば、カースケと〝恋人〟とのエピソード。酔っぱらった洋子がカースケの手を振りほどきホンネを話す学生時代。ベルボトムのジーンズ、パンタロン姿が懐かしい。お互いに意地を張りとおし、時を経て、旅立つ洋子を追いかけるカースケのシーンは胸に迫り、せつない。物語の設定では洋子は亡くなっているので、彼女を演じた金沢碧が出演していないのが惜しい。
というように、物語への思い入れが深いのだが、少し冷静になると、いくつかの注文もある。1つは、このドラマに拳銃は不似合い。しかも、それがなにを象徴しているか、わかりにくい。また、カースケが経営している会社に勤めている若い女性のエピソード。なにかの大きな伏線か?と思っていたのだが…。いろいろな想いが交錯した映画。実生活での同窓会のように、「◎年目」の彼らに、お互いに元気でまた会いたいものだ。
〈ストーリー〉津村浩介“カースケ”(中村雅俊)と、大学時代の同級生の神崎隆夫“オメダ”(田中健)、カースケの小学校の先輩である熊沢伸六“グズ六”(秋野太作)の3人は70代になり、付き合いはすでに50年を過ぎている。カースケは現在、従業員10人ほどの小さな町工場を経営し、オメダは現在も鳥取県の米子市長を務め、グズ六は妻のおかげで介護施設の理事長の座に収まり、それぞれ平穏な日々を過ごしていた。そんなある日、カースケの工場にオメダがやってくる。カースケは、米子市長を務めるオメダを誇らしい気持ちで従業員に紹介するが、オメダは思いつめた様子ですぐにその場を後にしてしまう。
また別の日、カースケの工場で制作中だったポットが大量に割られる事件が起きる。その中に懐かしい砂時計を発見したカースケ。その砂時計はかつての恋人・洋子と行った思い出の地、鳥取砂丘で買ったものだった。20年前に病死した洋子を懐かしむカースケだが、グズ六から「洋子が生きてる!」と驚きの情報を耳にして…。
〈キャスト〉中村雅俊、秋野太作、田中健、岡田奈々、前田亜季、水谷果穂、左時枝、福士誠治ほか
〈スタッフ〉原作・脚本・鎌田敏夫。監督・主題歌・挿入歌・中村雅俊。エグゼクティブプロデューサー・志賀司、中山良夫。共同プロデューサー・若林真弓、服部進、羽田文彦。プロデューサー・松岡周作。アソシエイトプロデューサー・鎌田雄介。配給・NAKACHIKA PICTURES 協力・ユニオン映画 制作・GENERATION11、suku 製作・「五十年目の俺たちの旅」製作委員会