「モンキービジネス おさるのジョージ著者の大冒険」  
           2026年8月14日公開
関西を走る阪急電車に乗っていると、同社の「おさるのジョージ」を使ったグッズの広告が貼られている。そのように、すっかりおなじみのキャラクター。ほかのものと同様に、誰がいつ、どういったきっかけで「生み出した」のか、知らないままに日常に溶け込んでいる。この映画は、「おさるのジョージ」を生み出した夫婦を描いたドキュメンタリー。かわいい絵柄からは想像できない彼らの波乱に富んだ人生…。山崎エマ監督によるそんな「切り口」に興味があって、8年前に上映された「字幕版」を観に行った記憶がある。それが、河合優美によるナレーションで「日本語版吹替版」として公開される。
 夫妻のキャリアを簡単に紹介すると。夫のハンスは1898年、妻のマーガレットは1906年にどちらもドイツ・ハンブルクに生まれ、1936年に結婚。パリで暮らしていた時にハンスが描いた児童向けの本「きりんのセシリーと9ひきのさるたち」が出版され、そこに登場したのが、おさるのジョージだった。〝登場動物の1匹〟だったが、注目されて「ひとまねこざる」の主人公となり人気が出る。しかし、第二次大戦中、ユダヤ人としてナチスドイツの攻撃を避けるため、パリ陥落の数時間前にハンスが組み立てた自転車2台でパリを脱出。戦後はニューヨークで数々の「おさるのジョージと黄色い帽子のおじさん」の絵本シリーズを執筆した。
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タイトルになった「モンキービジネス」とは、本来は「いたずら、ふざけた行動」といった意味だそうだが、ここでは「おさる」によってつかんだビッグビジネスを指す。ユダヤ人の2人には過酷な運命が待ち受けていたが、「汗と涙は表すのではない」というのが夫妻の矜持、それらを真っ向から声高に訴えるのだはなく、淡々と描いている。
ドキュメンタリーでの知人の証言といえば、言葉そのものから好意的なものが多いのでだが、ここに登場する人々はストレート。とくにマーガレットについては「とても失礼な人」「子供が嫌いだった」といった言葉が飛び出すのだが、それは100%の「悪口」ではなく、友情の意味も込められているのが映像での微妙な表情からうけとれる。一方、ハンスは「いい人」なのだが他人を押しのけて…という気もなく、ビジネスにも疎いよう。その2人がまさに絶妙のコンビネーションで生み出したのが、「おさるのジョージ」ビジネスというわけ。
夏休み、キャラクターの絵に惹かれて「親子連れ」で、というかもしれないが、子供(とくに幼児には)…。むしろ、ドキュメンタリーに興味のある人にはお勧めの映画だろう。
〈山崎エマ監督・プロフィール〉)米アカデミー賞・エミー賞にノミネートされたドキュメンタリー監督。日本とイギリスの血を引く大阪育ち。19歳で渡米しニューヨーク大学で映像制作を学ぶ。「モンキービジネスおさるのジョージ著者の大冒険」(2018年)で長編デビュー作品。「おさるのジョージ」絵本刊行85周年を記念して、吹替版が2026年に公開。また、「甲子園:フィールド・オブ・ドリームス」(2020年)では大谷翔平の母校・花巻東を含む2校に密着。「小学校~それは小さな社会~」(2023年)では、日本の公立小学校での1年間に密着。その作品から生まれた短編「INSTRUMENTS OF A BEATING HEART」は、米アカデミー賞短編ドキュメンタリー部門にノミネートされ、日本を題材にした作品で同部門にノミネートされた初の日本人監督となった。初の著書『それでも息子を日本の小学校に通わせたい』(新潮新書)を出版。
〈スタッフ〉監督・編集・プロデューサー:山崎エマ。ナレーション:河合優実。アニメーション:ジェイコブ・カフカ。エグゼクティブ・プロデューサー:エリック・ニアリ、國實瑞恵。配給:シネリック・クリエイティブ、エスパース・サロウ宣伝:ミラクルヴォイス2026年/アメリカ・日本/DCP/82分/日本語吹替版©2026シネリッククリエイティブ
〈関連イベント展覧会〉「おさるのジョージ展~きみがいるから毎日楽しい~」
2026年8月13日~8月25日、東京・松屋銀座8階イベントスクエア

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