第十一回あべの歌舞伎「晴(そら」の会」
2026年7月31日~8月3日
昼の部12:30/夜の部17:00
近鉄アート館
今年も「あべの歌舞伎 晴(そら」の会」が開催される。かつて、上方歌舞伎役者を育成するために設立された「上方歌舞伎塾」を卒業し、歌舞伎公演で活躍する人々によるこの公演で、毎年1回、近鉄アート館(大阪市阿倍野区)で上演されている。10回を超え、「当たり前」のように思っていたのだが、昨年とは状況が一変した。
大阪での歌舞伎の拠点となっていた大阪松竹座が5月に「閉館」。関西での歌舞伎を取り巻く環境は厳しいものになった。彼らのショックも計り知れないが、そんななかでも継続が決まった。7月と言えば、大阪松竹座の華々しい「七月大歌舞伎」公演があったが、今年はこの「晴の会」公演が、大阪で行われる唯一の「夏芝居」。昨年は、大作「夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)」を演じて話題を呼んだが、今回は趣向を変えて、舞踊と狂言舞踊などを上演することになった。芝居とはまた違う歌舞伎の魅力を伝えるという意味合いも大きいが、そこには昨年とは違う「事情」があった。
これまでは大阪松竹座の『七月大歌舞伎』があって、そこにはいつもこの顔ぶれが出演していて。公演が終わった後や合間を縫って、片岡仁左衛門の指導のもとで「晴の会」の稽古が行われていた。今回はこれまでほど充分な時間がとれないこともあって、舞踊と狂言舞踊(新作)を上演することになった。
6月26日に行われた記者会見で、出演した7人はそれぞれが決意を話した。
「今年ははからずも、われわれは6月の舞台出演がなく休みでした。それならみんなで集まり、企画作りから始まって、稽古に励みました。また、6月に南座に出演された仁左衛門さんのところにも伺い、ご助言をいただきました。7月はほとんどの出演者が東京での舞台に立つので、東京でさらに稽古を進めていきます。ピンチをチャンスにしたいと思っています」」。
上方歌舞伎塾第1期生でありこの会の中心メンバーの1人で、「亀屋東斎」という別名で、「三人ほら吹き」の脚本を手掛けた片岡千次郎が現状を話した。同じくⅠ期生の片岡松十郎は「松竹座の閉館を受けて、大阪で歌舞伎ができることが、改めて気づきました。その幸せをぶつけたいと思います」。同じく片岡千壽も「上方歌舞伎役者としての誇りを持ち、上方の楽しいお芝居をご覧いただきたい」と決意を語った。
狂言舞踊「三人ほら吹き」は、古典をベースに設定などを大きく変えた「新作」。亀屋東斎が、「私や松十郎、千壽らの個性に合わせて,あて書き」。「狂言舞踊で上方らしさをどれくらい出せるか模索しています。物語を大阪にして、上方弁もありながら品よくはんなり、人間臭さを深く描いて演じたいと思っています」と東斎(千次郎)が話す。このほか、昼の部、夜の部には「歌舞伎初心者にもわかりやすく、親しみを持てるような趣向もある。
大阪における歌舞伎の環境は厳しく、観客や演者にとっても先行きが見通せないのが現状だが、そんななかでの「晴」舞台として、期待が膨らむ。
kでなく、
【役への思い】
◇片岡松十郎
「橋弁慶」の弁慶=大きさを求められる役です。牛若丸を演じる千太郎君が私よりも身長が高いので、それに負けない存在感を出せるよう踊りたいと思っています。三方が客席のこの劇場空間を利用できればとも思っております。
「三人ほら吹き」の剛の権蔵=力自慢の男で、皆様に楽しく思っていただけるようにつとめいと思ったいます。
◇片岡千壽
「傾城」傾城=見た目の美しさ、鬘や衣裳の豪華さなど、女形のど真ん中のような
役です。衣裳などはとても重いのですが、それを感じさせず涼しい顔をして演じたいと思っています。
「三人ほら吹き」おきゃんのお花=私にぴったりの役だと思います。師匠の片岡秀太郎に言われた「うまくやろうとせず、楽しんで務めなさいという言葉を思い返しながら演じます。
◇片岡千次郎
「粟餅」粟餅売りの妻=女形に挑戦します。を演じる◎さんとの仲睦しい夫婦に見えるようにつとめます、
「三人ほら吹き」=はしこい半平=すばしっこいことが取り柄の役で、踊りまくっていっぱい汗をかきたいと思っています。
◇片岡りき彌
「傾城」傾城=傾城華やかさ、気品を大切に踊らせていただきます。
「三人ほら吹き」腰元=あまり悪ふざけにならないような笑いをお届けできればと思っています。本興行では、しっかりと踊る機会が少ないので、稽古を積んで挑みたいと思います。
◇中村翫政
「粟餅」粟餅売りの主人=妻役が千次郎さんということで、これは初めてでこれから愛を育んでいければ(笑い)と思っています。
「三人ほら吹き」の従者=3人を待ち受ける。ちょっと気が利く、頭のさえる人物を演じようと思っています。
◇片岡千太郎
「橋弁慶」牛若丸=一本芯が通っているなかでも、前髪の幼さ、おぼこい感じも表せたらと思っています。
「三人ほら吹き」腰元=少しお調子なところもあるという役柄で、それをどう嫌味なく純粋にお客様に伝えられるかということを研究したいと思っております。
◇中村鴈大
「三人ほら吹き」=橋の下で眠る乞食ですが、みすぼらしい様を見せる訳ではなく人懐っこく可愛い人ではないかと考えています。
(※片岡佑次郎は記者会見に欠席)
〈夏休み特別企画〉
瀧汗舞踊顔見晴(たきのあせおどるかおみせ)
一、(昼の部)ようこそ歌舞伎へ~歌舞伎ワークショップ~
(夜の部)ようこそ晴の会へ過去十公演を振り返って~
二、 舞踊三題
長唄「傾城」片岡千壽
傾城 片岡千壽/新造 片岡りき彌
常磐津「粟餅」片岡千次郎
杵造 中村翫政/お臼 中村翫 政
長唄「橋弁慶」
片岡松十郎/牛若丸 片岡千次郎
三、新編 上方笑作事(かみがたしょさごと)
「三人ほら吹き」常磐津連中 長唄連中
監修:片岡仁左衛門
演出:山村友五郎 振付・演出
脚本:亀屋東斎
〈あらすじ〉近頃大坂の街では、 盗賊が世間を騒がせている様子。 住吉辺りに住む晴岡主馬は、屋敷に用心役を置きたいと、一芸に秀でたる腕利き自慢の強者を集める高札を掲げます。 それを見てやって来た、 剛の権藏、 おきゃんのお花、 はしこい半平は、自らの得手事を自慢げに話します。 主馬はその腕前に大層感心します。主馬は、この三人に留守番を申し付け、 蔵の鍵を預けて、 京の西山へと出掛けて行きます。 さて、 残った三人はどうなるか・・・
〈出演〉片岡松十郎、片岡千壽、片岡千次郎、片岡りき彌、中村翫政、片岡千太郎、片岡佑次郎、中村鴈大
前売7,500円 当日8,000円(全席指定)。高校生以下1,000円
写真=前列左から片岡千次郎、片岡松十郎、片岡千壽。後列左から片岡千太郎、中村翫政、片岡りき彌、中村鴈大。