「箱の中の羊」
2026年5月29日公開
子供の死から立ち直ろうとする、ある夫婦の物語である。カンヌ国際映画祭では、『そして父になる』(2013)で審査員賞、『万引き家族』(18)で最高賞パルムドール、『ベイビー・ブローカー』(22)でエキュメニカル審査員賞と最優秀男優賞、『怪物』(23)でクィア・パルム賞と脚本賞受賞、と輝かしい実績を挙げてきた是枝裕和が、監督・脚色・編集をこなした一作だ。
2年前に7歳の息子・翔を亡くした健介(大悟)と音々(綾瀬はるか)夫妻のもとに、ある日「事件や事故で家族を亡くした遺族に対し、最新型ヒューマノイドを無償でレンタル」させるというサービスからのメッセージが届いた。不思議な誘いに健介の方は懐疑的だったが、音々は乗り気・・・というより、すがりつくようにレンタルサービスの子供を受け入れる。
しかし劇中のヒューマノイドの翔は、音々が思うように、大人しく家に居てはくれない。ふいに音々が「私達、捨てられたのね」と呟くと、健介が「親はみんな、そういうもんちゃうか?知らんけど・・・」と応える。岡山弁を交えて話す健介と、なまりの無い音々の会話の場面は凸凹していて、2人の文化的ギャップを匂わせ面白かった。是枝裕和監督は、ヒューマノイドの家族という題材を通して、夫婦の絆と溝の両方を描きながら、AIと人間との共生はあり得るのか、というタイムリーな問いを投げかけている。
〈キャスト〉 綾瀬はるか 大悟(千鳥) 桒木里夢 清野菜名 寛一郎 柊木陽太 角田晃広 野呂佳代 星野真里 中島歩 余貴美子 田中泯
〈スタッフ〉監督・脚本・編集: 是枝裕和。音楽:坂東祐大。製作:若松央樹 依田巽 市川南 田中優策。プロデューサー:松崎薫 伴瀬萌。共同プロデューサー:小竹里美 。撮影:近藤龍人。ヒューマノイドデザイン統括:田島光二。
(2026年/日本/125分)
©2026フジテレビジョン・ギャガ・東宝・AOI Pro.
配給:東宝、ギャガ