「長崎―閃光の影で―」
    2025年7月25日、長崎先行公開
        8月1日、全国公開
 長崎の原爆被害の悲惨さを、3人の看護師の視点から描いた人間ドラマである。スミとアツ子とミサヲは空襲による休校で大阪から長崎に帰郷していた17歳の看護学生。久々の帰郷で家族や友人と再会しホッとしたのも束の間、原爆投下によって長崎市が壊滅的な被害を受けたため、3人とも負傷者の救護に当たる。1か月に渡ってスミ達は救護活動に従事するが、患者が次々死んでしまうのを見て無力感に苛まれ・・・。
脚本のもとになっているのは日本赤十字社の看護師達がまとめた救護記録。核兵器による悲劇がいままた繰り返すかもしれない時代に、被爆国である日本が国際社会に伝えるべきストーリーだが、本作に教条的なところは無い。「あと1週間早よ負けとったら、みんな生きとった」というアツ子の印象的な台詞からは、戦争で大切な人を失う悔しさが伝わって来る。
世界には“原爆投下のおかげで戦争が終わって良かったのだ”という説を唱える者も多いが、放射線による被害の過酷さを知れば、そんなことは誰も言えなくなるのではないだろうか。戦後80年という節目の年であるかどうかに関係なく、1945年の8月9日を忘れてはいけないのだ。
監督は『桜色の風が咲く』の松本准平。長崎出身の被爆三世である松本監督は、撮影にワンテイク長回しを効果的に使い、多くの民間人が犠牲になった長崎の状況を描いて、観客の理性に訴えかける。ナレーションは長崎県出身で歌手、俳優、声優など多方面で活動する美輪明宏。松本准平と『未成年だけどコドモじゃない』の保木本佳子による共同脚本。
(2025年/日本/109分)
配給 アークエンタテインメント
©2025「長崎―閃光の影で―」製作委員会
 

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