「長崎 閃光の影で」

2025年7月25日、長崎先行公開
8月1日 、全国公開

長崎へは高校の修学旅行から訪れていないが、長崎と同様に原子爆弾(以後、原爆)を投下された広島へはたびたび行っていて、そのたびに原爆ドーム、原爆平和記念資料館を訪れるようにしている。展示されている品々、写真などのあまりにも悲惨な光景に、胸に去来するものは限りなく大きく辛いが、やはり目を背けてはいかない「歴史」であることを毎回。痛感する。
こうした資料館や残されたドキュメンタリー・フィルムとは別に、ドラマを通じてそれを考える機会を設けるのが、映画や演劇の大きな役割だ。
広島への原爆投下を題材にした「ひろしま」(1953年)、被爆のため亡くなった女優・園井恵子さんら移動劇団の俳優たちの悲劇を描いた「さくら隊散る」(1988年)。また、兵役のため女学生が路面電車の車掌をつとめた実話を基にした「音楽劇 チンチン電車と女学生」(2007年初演)という舞台も印象にのこる。そして、長崎を題材にした映画「TOMORROW 明日」(1988年)は1945年8月9日の投下直前までを描いた佳作。その流れをくむこの映画「長崎 閃光の影で」は1945年8月9日の直前から直後、それからの救護活動が描かれている。原案は、日本赤十字社の看護師たちによる手記「閃光の影で-原爆被爆者救護請求時看護婦の手記―」で、環境も性格も違う3人の看護学生の半生に集約して展開していく。俳優が演じることによって、資料などで知るよりも、自分たちの生活といっそう投影して受け止めることができ、それがさらに胸に迫ってくる。彼女たちは高い志をもち看護学生になったとはいえ、悲惨な状況を目のあたりにすることで激しく動揺が起こり衝突もする。これこそ生身の人間。黒髪をすかすと、毛が抜け落ちる様子で、被爆したことを暗示する描写がいい。
そんななかでの「光明」は、混乱のなかで生まれた赤ちゃんの存在。彼の成長が、「生きる」ことへの望みを象徴し、「救い」を感じたのだった。
〈あらすじ〉 1945年、長崎。看護学生の田中スミ、大野アツ子、岩永ミサヲの3人は、空襲による休校を機に帰郷し、家族や友人との平穏 な時間を過ごしていた。しかし、8月9日午前11時2分、原子爆弾が投下され、その日常は一瞬にして崩れ去る。街は廃墟と 化し、彼女たちは未熟ながらも看護学生として負傷者の救護に奔走する。救える命よりも多くの命を葬らなければならないという非情な現実の中で、彼女たちは命の尊さ、そして生きる意味を 問い続ける。
〈出演〉菊池日菜子、小野花梨、川床明日香、水崎綾女、渡辺大、田中偉登、加藤雅也、有森也実、萩原聖人、利重剛、池田秀一、山下フジヱ、南果歩、美輪明宏(語り)
〈スタッフ〉監督・松本准平、脚本・松本准平/保木本佳子、原案・「閃光の影で 原爆被爆者救護 赤十字看護婦の手記」(日本赤十字社長崎県支部)、主題歌・「クスノキ」(アミューズ/Polydor Records)作詞・作曲: 福山雅治、制作プロダクション・SKY CASTLE FILM ふればり、配給・アークエンタテインメント
(C)2025「長崎―閃光の影で―」製作委員会

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