「Mr.ノボカイン」
 2025年6月20日公開

お化け屋敷に入った経験はおありだろうか?東映太秦映画村にも有名な五味弘文プロデュースの物があるし、最近は遊園地のアトラクションにとどまらず、民家を改造した物などもあって人気だ。人は何故お金を払ってまで怖い思いをしたいのか?これには諸説あるが、筆者は一緒に入る相手が重要なのではないかと思っている。こどもの頃に信頼できる大人とお化け屋敷に入った経験は、単なる思い出以上のものにつながっていくからだ。
 「Mr.ノボカイン」はそんな、お化け屋敷的な楽しみ方が出来る作品である。
舞台はカリフォルニア州サンディエゴ。主人公はネイサン・カイン。中学時代に壮絶ないじめに遭った人物だが、今は銀行員として幸せに暮らしている。この人物には秘密があって、希な遺伝性疾患を抱えている。この疾患を持つ人間は、痛みを感じることが出来ず、更に暑さや冷たさも感じることが出来ないのだ。これまで制約だらけの生活をして来たネイサンだったが、ある日勤め先に強盗が入り、最愛の人が人質にとられる。
敵にあっちを刺されこっちを撃たれ・・・と、主人公が散々な目に遭うシーンは、突き刺す音とか殴る音とかがかぶせてあるので、とにもかくにも痛そうだ。映画館に居る間は、「わっ!」と驚いて「ひゃっ!」と目を閉じて・・・と反射神経の部分が忙しくなる。
 しかしシナリオの方は斬新なアイデアに、毒のあるユーモアが絡んでいて緻密だ。主人公は痛みを感じないのかもないが、観ている観客は痛みどおし。この逆説的な面白さに加えて純愛をテーマにした気持ちよさがある。映画館という安全な空間の中で味わって、映画館を出たらホッとして「凄かったね、今の」と、同行した人と思い出を分かち合って欲しい。“ラブコメの女王”として一時代を築いたメグ・ライアンと「サブスタンス」でけしからん上司を演じたデニス・クエイドの息子、ジャック・クエイドが主役に扮し、才能と個性を披露しているのも話題。監督はダン・バークとロバート・オルセン。レイティングは15歳未満の人の入場・鑑賞が禁止のR15+。
(2025年/110分/アメリカ)                         )
配給 東和ピクチャーズ
©2025 PARAMOUNT PICTURES

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