松竹創業130周年 OSK日本歌劇団「春のおどり」
2025年6月14日~24日  大阪松竹座
2025年8月22日~26日  新橋演舞場(※「夏のおどり」として上演)
◇第1部「翔~Fly High~」(構成・演出・振付/花柳寿楽)
「春のおどりはよ~いやさ~」というこの時期の公演ならではの掛け声、「チョン」と「柝(き)」の音が入る「チョンパ」で開幕すると、そこは、江戸の「お祭り」風景だった。花道からいなせな鳶頭に扮したトップスターお披露目の翼和希が登場、「待っていたとはありがてえ」と歌舞伎「お祭り」の名台詞が語られる。
103年前、大阪で創立されたOSK日本歌劇団。そこに江戸の風情が漂う幕開け=第1景「花」は意外性があった。構成・演出・振付の花柳寿楽は、舞踊家としてはもちろん、大河ドラマなどでは俳優としても活躍していて「演じる側」の心理も熟知、ドラマ性があるテーマ「花鳥風月」で、〈見せる〉和物レビューになっている。
例えば、第2景「鳥」では姫(千咲えみ)をめって鳥(翼)と魔の鳥(朝香櫻子)が対立する様子を邦楽をベースにした舞で表現。よく聴くと、「オペラ座の怪人」のオーバチュアをほうふつさせる一節も?という遊び心が。さらに、第3景「風」では、下駄タップや太鼓などを打ち鳴らしながらラップ風のリズミカルな展開と、和のなかに、現代の息吹を取り込み、新鮮だった。

◇第2部「The Legendary!」(作・演出/中村一徳)
こちらはスパニッシュのテイストから始まる洋物レビュー。メインテーマ曲をいろいろなアレンジで奏で歌うのは「常道」ではあるが、「Legendary」(伝説のーの意味)のリフレインは小気味よく、つい口ずさんでしまうほど。作・演出の中村一徳をはじめ、音楽の甲斐正人、歌唱指導の山口正義ら、もう1つの歌劇団 タカラヅカの舞台を手がけているメンバーがそろった。[ダンスのOSK」とも言われるが、今回は「歌のOSK」にも注目をした。というのも、旧知の仲である歌唱指導の山口は、彼が幼い頃からタカラヅカ同様にOSKを観続けていたのを聞いていた。そんな彼が念願かなってOSKを担当することになったのだ。歌唱のこまやかな部分を聴きわける能力はないが、私には歌詞(とくに語尾)が流れることなく、しっかり鮮明に聴きとれ、ときには不安定になりがちな劇団員にも安定性が増したように思えた。
また、われわれ世代おなじみの「やさしい悪魔」恋のバカンス」などポップな昭和歌謡が登場するのもいい。さらに、初舞台生による笑顔に懸命さが伝わるラインダンス。特別専科の桐生麻耶(元・トップ)のいまのポジションを熟知した歌・ダンスも沁みた。
タカラヅカにも共通しているが、熱狂的なファンとステレオタイプで判断して、観ようしない人。「分断」されるこの2つの間に、「いいものはいい!」というフラットな観客がもっと欲しい。大きき言えば、この公演はそうした要素があるような佳作レビュー2作にも思えた。
〈出演〉翼和希、千咲えみ、白藤麗華、華月奏、城月れい、登堂結斗、天輝レオ、壱弥ゆう、唯城ありす、羽那舞、京我りく、紫咲心那、琴海沙羅、水葉紗衣、有絢まこ、知颯かなで、空良玲澄、舞音ことは、璃音あかり、梅名希歩、柊湖春、南星杜有、鼓珀響、桜乃ひとみ、初音くらら、香幸信帆、陽向だいち、 桐生麻耶(第2部のみ)、朝香櫻子、初舞台生(OSK日本歌劇団研修所第101期生)

■ 松竹創業130周年 新橋演舞場100周年 OSK日本歌劇団「レビュー 夏のおどり」 2025年8月22日(金)~26日(火) 東京都 新橋演舞場 □ スタッフ 第1部「翔~Fly High~」 作・演出:花柳寿楽 第2部「The Legendary!」 中村一徳 □ 出演 翼和希 / 千咲えみ / 白藤麗華 / 華月奏 / 城月れい / 登堂結斗 / 天輝レオ / 壱弥ゆう / 唯城ありす / 羽那舞 / 京我りく / 紫咲心那 / 琴海沙羅 / 水葉紗衣 / 有絢まこ / 知颯かなで / 空良玲澄 / 舞音ことは / 璃音あかり / 梅名希歩 / 柊湖春 / 南星杜有 / 鼓珀響 / 桜乃ひ
とみ / 初音くらら / 香幸信帆 / 陽向だいち / 桐生麻耶(第二部のみ) / 朝香櫻子 / OSK日本歌劇団研修所第101期生
(C)松竹

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