「浜村淳の上方演芸よもやま噺 WITH 内海英華」」
      2025年5月21日
         新世界ZAZA
 今年90歳を迎え、ラジオ番組「ありがとう浜村淳です 土曜日です」(MBSラジオ、関西地区で放送)などのパーソナリティをはじめ、イベントや講演会などに出演、〝まだまだ現役〟の浜村淳。一方、和服姿に三味線を持って高座に登場、小唄、端唄(はうた)、都々逸(どどいつ)などをつま弾きながら漫談を披露する「女道楽」という芸で、関西の落語の定席である天満天神繁昌亭、神戸の喜楽館などに出演している内海英華。活動する場所も年齢も違う2人が〝共演〟した公演。満員(約150人)の観客が集まり、無事に終わった。実は、この催しについて、私は「企画・構成」という立場で関わっていた。とはいっても、当日はどんな掛け合いを披露するか?2人まかせ。私は入場時のチラシ配り、そして幕の開閉を初めて体験。文字通りに〝幕内〟から観た当日の光景をレポートする。
 午後0時30分、開場と同時に入場する列ができた。というのも、ロビーには本人の希望で浜村がお出迎え。話かけたり、記念写真を撮ったりする人たちでにぎわった。そして、私がぎこちなく舞台上手(向かって右側)にあるロープを引っ張って「開幕」。舞台中央に登場した浜村が語り始めた。「めったに見ることがなきない『女道楽』という芸。将来、人間国宝になるでしょう」と浜村節で〝持ちあげて〟話題はなぜか、チャールズ・ブロンソンのCMなどへ。博識だけに、どんどん知識が広がっての饒舌に予定の20分を軽くオーバー。後の進行もあるので、舞台裏では即席の会議?上方落語ならではの「はめもの」(効果音)に使う道具があり、さて誰が〝鈴とつける〟ならぬ〝鐘を鳴らす〟か譲り合い。ここはやっぱり「構成」担当と、「あの鐘を鳴らしたのは私でした」(笑い)。自分でもけっこうタイミングよく響いたために、それがご愛敬となって15分オーバーで終了。
 「女道楽」も力が入って、本人が「いつもの高座の3回分くらい」(笑い)と言うほど、約30分たっぷり。急遽、駆けつけてきてくれた笑福亭呂翔が舞台下手で、英華が奏でる曲などにあわせて太鼓を打つ光景は、ふだん客席では見られないもの。ジャズのアドリブセッションのようでもあり、これだけでも、舞台袖にいた役特だった。
 15分の休憩をはさんで第2部は2人の対談。三波春夫のエピソードから
歌謡浪曲「俵星玄番」にセリフをよどみなく話す浜村、そこから歌舞伎「仮名手本忠臣蔵」の「一力茶屋の場」の話にうつり、英華が。これこそ、私が描いていた2人ならではの対談。さらに、「唐人お吉」の話で、それにちなんだ歌を三味線で奏でる絶妙の息。話は尽きないようだったが、「次回があれば…」と閉幕。退場時にも浜村と英華がお見送り。私に「3500円は安いですよ」と話してくる人もいるし、アンケートも「楽しかった」「女道楽を初めて見たけれど、よかった」などと好評のよう。「思いつき」から始まった企画が実現した満足感と疲労感がまざった1日となった。(敬称略)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


error: Content is protected !!