「HERE 時を越えて」
2025年4月4日公開
〝遊び心〟あふれているが、けっして破天荒ではなく、よくできたファンタジーでもあり感動作でもある。ロバート・ゼメキス監督は一貫してそういった作風の映画を生み出し、独特のポジションを築いている。代表作と言えば、1984年から始まった「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズ3作、「フォレストガンプ 一期一会」(1994年)が有名だが、私はデビュー作「抱きしめたい」(1978年)も推す!ビートルズがニューヨークを初めて訪れた「事実」を背景に、女子高校生たちがホテルに忍び込む物語。ベッドに下に潜り込んだ彼女たちの視点で、ビートルズの4人が「足元」だけ〝登場〟するという設定は斬新だった。
さて、この映画は1503年、 ークの苗木が成長し始める描写から、現代まで約500年にわたって、カメラが1つの場所を「定点観測」するという、これまで観たことがないような「壮大」なドラマ。大地に家が建ち、夫婦が暮らし、子供が生まれ、家庭ができる…。そんな人間の営みの循環を、ここでもファンタジーでもあり感動作として描きあげている。
メインになるのは、トム・ハンクスとロビン・ライト。「フォレストガンプ」でも共演した2人が、高校生から老人まで演じている。ふつうならメイクによって〝若作りや〝老け〟を表現するのだが、最新のVFX(視覚効果=VISUAL EFECTSのEFECTSをFXと表記したもの)を駆使して、自然な形で年輪を重ねている。それは、外観だけでなく、ハンクスらはその時の年齢になりきった演技をすることで、まるで、ある家族のサーガ(年代記)を目撃しているような気になってくる。
そんななか、欲を言えば、全編で1時間44分で、あまりにも目まぐるしくシーンが転換していくので、登場人物の関係性や状況への理解が追いつきにくい。この映画の場合は、3時間とまではいかないが、もうすこし長尺であってもよかったのではないかとも感じた。
〈ストーリ〉恐竜が駆け抜け、氷河期を迎え、オークの木が育ち、先住男女が出会う。悠久の時を越えてその場所に家が建ち、いくつもの家族が入居しては出てゆく。心を揺さ ぶるドラマと共に。1945年、戦地から帰還したアル(ポール・ベタニー)と妻のローズ(ケリー・ライリー)が家を購入し、やがてリチャード(トム・ハンクス)が生まれる。世界が急速に変化 していく中、絵の得意なリチャードはアーティストになることを夢見ていた。そんな中、別の高校に通うマーガレット(ロビン・ライト)と出会い、2人は恋におちる。マーガレットは、高校卒 業後は大学に進学し、弁護士になることを目指していた。だが、ここから思いがけない人生が始まる。
〈スタッフ〉監督:ロバート・ゼメキス、原作:リチャード・マグワイア、脚本:エリック・ロス&ロバート・ゼメキス、
〈キャスト〉トム・ハンクス、ロビン・ライト、ポール・ベタニーケリー・ライリーミシェル・ドッカリー
2024年/アメリカ/英語/104分/カラー/5.1ch/ビスタ/原題:HERE/字幕翻訳:チオキ真理 提供:木下グループ 配給:キノフィルムズ ©2024 Miramax Distribution

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