『MICKY 17 ミッキー17』
    2025年3月28日 全国公開

『パラサイト 半地下の家族』でアカデミー賞4部門に輝いたポン・ジュノ監督の最新作は、エドワード・アシュトン原作『ミッキー7』の映画化だ。
 主人公ミッキーは人体複製技術で、何度死んでもコピーされて生き返る、“使い捨てワーカー”。危険な仕事に従事して、これまで16回死んだのだが・・・という設定でドラマは始まる。
ポン・ジュノ監督はこれまで数々の作品で、韓国の名優ソン・ガンホを主役に起用して成功して来たが、今回も主演のロバート・パティンソンを始めとして配役がいい。『トワイライト~初恋~』のヴァンパイア役で22歳の時にブレイクしたパティンソンは、アクション大作や話題作に出る一方で、『ライトハウス』のような作品で見ごたえある演技も披露している。本作ではミッキーをコミカルに、そしてシュールに演じ切った。主人公が対峙する権力の側を演じるのは、マーク・ラファロとトニ・コレット。演技派として今、脂がのっている2人がドラマにミステリアスな要素を加えているので、階級差や植民地主義を描いた風刺劇でありつつ、肩の力を抜いて楽しめるエンタテインメントに仕上がった。
 登場する人間たちやクリーチャーが、どこか懐かしいテイストなのは、監督が子供の頃から日本の漫画やアニメに親しんできたこととも関係があるのだろう。ヨルゴス・ランティモス監督作品などに関わったフィオナ・クロンビーが担当する美術も見どころ。どこまでもポン・ジュノ監督らしい一作である。
(ワーナー・ブラザース映画の試写会にて)
(2025年/137分/アメリカ)
配給 ワーナー・ブラザース映画
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