「レ・ミゼラブル」
   2024年12月20日~2025年2月7日
            帝国劇場
   2025年3月2日~28日
            梅田芸術劇場メインホール
        4月6日~30日
            博多座
        5月9日~15日
        まつもと市民会館
        5月25日~6月2日
        札幌文化芸術劇場
        6月12日~16日
        高崎芸術劇場

 数あるミュージカルの1作ではあるが、いまでは一大イベントともいえる作品になった。クロージング作となった帝国劇場はもちろん、上演する各劇場でチケットは〝プラチナペーパー〟になっている。幸いなことに、私は3月7日に梅田芸術劇場で観劇することができた。(バルジャン役:飯田洋輔 ジャベール役:伊礼彼方 フォンテーヌ役:木下晴香、ほか)。
 そうしたこともあって、開演前にオーケストラの人々が楽器を調律する音の数々、そしてあのオーバーチュアーが流れると高揚感が増してくる。
 思い起こせば1987年。鹿賀丈史、滝田栄(ジャン・バルジャン、ジャベールを交代で)。斉藤由貴(コゼット)、野口五郎(マリウス)、岩崎ひろみ(フォンテーヌ)らが演じた初演。時間がないということで、帝国劇場の楽屋で、斉藤由貴にインタビューしたことも懐かしい思い出。
 なかでも、何度観てもグッとくるシーンがいくかある。まず、幕開けまもなく、ジャン・バルジャンが教会の銀の食器を盗んで逃げようする場面。〝恩を仇で返す〟彼を司祭がやさしくかばう恩情に胸が熱くなる。「薄幸」を象徴するファンテーヌの生涯はいうまでもないが、エポニーヌの悲しさを懸命に押し隠しす様子がいじらしく哀しい。そうした視点では、エポニーヌの気持ちをわからず、「つらい仕打ち」をするマリウスになかなか寄り添えない。容姿の良さだけでなく、そうした複雑な心情を表現する演技力が問われる役でもあるだろう。また、テナルデ;イ夫妻は〝憎めない悪役〟という設定。それがときには、誇張しすぎオーバゼスチャーになり〝コメディリリーフ〟(その場を和ませる)の傾向が強くなりがちでもある。波乱万丈のジャン・バルジャンが軸になっているが、彼を執拗に追うジャベールら取り巻く人物が魅力的なのが、この作品の大きな魅力だろう。

 余談ながら…。このミュージカルはイギリス発と思われがちだが、
実はフランス発ミュージカルで、1980年に同国で初演された。今回、観終わった後、そういえばその「音源」があったなと探したところ発見!当時、観劇のためにニューヨークへほぼ毎年行っていた。その時には必ずタイムズスクエアにあるタワー・レコードでミュージカルのレコード、もしくはカセットテープ(当時はまだCDが普及していなかった)を購入していた。そのうちの1つのカセットがそれで、さっそく聴いてみたら、ロンドン版のナンバーと同じだった。その原点を巧みに整えて現在のスタイルにしたのが、キャメロン・マッキントッシュの功績。昨年からフランスでもこのバージョンが「再上陸」しているという。
〈ストーリー〉19年間服役したジャン・バルジャンは、仮出獄後に再び盗みを働いてしまうが、罪を見逃してくれた司教に感銘を受けて改心する。やがて運命的な出会いを果たしたファンテーヌから愛娘コゼットを託されたバルジャンは、執念深いジャベール警部の追跡を逃れ、パリへ。バルジャンとコゼットは親子として暮らすが、やがて激動の時代の波に飲まれていく。
〈スタッフ〉原作:ヴィクトル・ユゴー 作:アラン・ブーブリル / クロード=ミッシェル・シェーンベルク作詞:ハーバート・クレッツマー
オリジナル・プロダクション製作:キャメロン・マッキントッシュ
演出 ローレンス・コナー/ジェームズ・パウエル 翻訳 
酒井洋子 訳詞 岩谷時子 プロデューサー 坂本義和/村田晴子/佐々木将之
製作 東宝

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