2024年12月13日公開
「ピアニスト」「8人の女たち」などの実力派、イザベル・ユペール主演の人間ドラマ。本を通じて惹かれあう主人公達を描いた「静かなふたり」のエリーズ・ジラール監督による美しい佳篇である。
 作家のシドニは、小説のプロモーションのため日本に到着。担当の編集者と共に、大阪、京都、奈良、直島をめぐる6日間の旅をするが・・・。
ロケ地が東京ではなく、大阪や京都、奈良などの地方都市に設定されているのは、監督のエリーズ・ジラール自身が、過去に仕事で訪れた時の印象が良かったことによるという。大阪や直島を舞台にしたシーンでは現代的なイメージを強調しているが、京都や奈良は古都の持つミステリアスなムードをフルに使って演出、撮影にのぞんでいる。日本ロケを売り物にして日本を誇張し過ぎた作品は、大抵失敗するのだが、本作は主人公の心理変化にスイッチを入れる道具として、日本を使いながらも、誇張が心地よいユーモアのレベルに達しているので見ごたえがある。
愛する人を亡くし、過去に引きずられながら生きていた作家の心理を、1時間36分という短い中に凝縮させた映像編集も光っていた。
(2023年/96分/フランス・ドイツ・スイス・日本)
配給:ギャガ
©2023 10:15! PRODUCTIONS / LUPA FILM / BOX PRODUCTIONS / FILM-IN-EVOLUTION / FOURIER FILMS / MIKINO / LES FILMS DU CAMÉLIA

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