「ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ」
2024年10月11日公開
ワーナーから試写会に招かれて、この映画(字幕版)を観た。
アメリカン・コミック(DCコミック)「バットマン」実写化から端を発した登場するキャラクターを掘り下げた映画たち。特異な人物像が形成されたのにはそれぞれ数奇な生い立ち、運命があった。「バットウーマン」やネット配信中の「THE PENGUIN-ザ・ペンギン-」など、いわゆる〝スピンオフ〟的なものが製作されているが、トッド・フィリップス(監督/脚本/製作)、ホアン・フェニックス(主演)の「ジョーカー」(2019年)、それに続くこの「ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ」(通称「ジョーカー2」)は、それらとは一線を画している。特徴的なピエロを意識したメイクは、コメディアンを夢見ていた1人の男を象徴するもので、一目見た時は可笑しくもあるが、実は哀しい…。
今回は、むしろその「メイク顔」ではなく、「素顔」のジョーカーが全編にわたって登場する。というのも、前作で逮捕され、刑務所にいる彼のリアルな姿が描かれていく。過酷な拘束生活のなかで痩せ、精神的にも追い詰められている「素顔」は哀しいよりも悲しい。そんななかで、謎の女性・リーと出会い。かすかな光を見出していく。そうした2人の触れ合いが歌、ときには踊りによって綴られたりもする。重苦しい雰囲気さえ漂うなか、「異質」な場面。とはいえ、いわゆるミュージカルシーンの明るく楽しい空気は一瞬。レディ・ガガを起用した〝サービスカット〟ではなく、これもまた「メイク顔」と共通する悲しさを感じる。
物語はさらに深部に迫っていき、被告・ジョーカーの法廷闘争も描かれる。法廷用語や言葉での応酬などがあり、このあたりはやや難解ではある。トッド・フィリップス監督はアニメーション、コメディタッチといった軽妙さ、刑務所、法廷などの重厚さと言う両極を縦横無尽に演出、奥深い人間ドラマにななっている。
余談ながら、「バットマン」を原点にするキャラクターには、まだまだ魅力的な人物がたくさんいる。なかでも、ロビンの人生もおもしろそう。
〈ストーリー〉理不尽な世の中の代弁者として時代の寵児となったジョーカー (ホアキン・フェニックス)。 彼の前に突然現れた謎の女リー (レディー・ガガ)とともに、狂乱を世界に伝播させていく。孤独で心優しかった男の暴走の行方とは?誰もが一夜にして祭り上げられるこの世界―彼は悪のカリスマなのか、ただの弱き人間なのか。ジョーカーは一体、誰なのか?
〈キャスト〉ホアキン・フェニックス、レディー・ガガ、ブレンダン・グリーソン、キャサリン・キーナー、 ザジー・ビーツ他
〈スタッフ〉監督/脚本/製作:トッド・フィリップス
配給:ワーナー・ブラザース映画
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