松竹ブロードウェイシネマ「アーネストに恋して」
2024年10月4日公開
ニューヨークでミュージカル観劇。といえば、「ライオンキング」「アラジン」といった
家族みんなで楽しめる大型作品のイメージが強い。それらは、客席数500席以上で上演され〝オン・ブロードウェイ〟と言われるが、それ以下の〝オフ・ブロードウェイ〟と呼ばれる作品もたくさんある。それらは客層をさらに特化して、根強い人気がある。かつて年に1回は、ニューヨークを訪れていた頃、現時点で44年間もロングランしている「ファンタスティックス」やヒュー・ジャックマンの一人芝居「ピアノ」、後に〝オン〟に進出して人気を集めた「RENT」などを観劇。ステージと客席が近いなかでの親近感と緊張感を味わったものだ。
この作品は2017年にオフ・ブロードウェイで上演された二人芝居。その前にシアトルでの初演を経て、ニュージャージーとボストンを巡り、内容を練り上げてニューヨークに〝上陸〟、それもあって数々の賞に輝いている。舞台セットは、冷蔵庫があるシンプルな部屋、ただしバックには映像を映し出す大きなスクリーンがあり、〝もう1人の登場人物〟としての役割を果たす。エレキバイオリンを奏でるヒロインは売れない作曲家。人生に悲観している時に、時空を超えて冒険家と出会う。それは、アーネスト・シャクルトン(1874年~1922年)という実在した人物。イギリスの南極探検隊を率いて南極探検を探検、1人で漂流し。日本ではあまり知られていないものの欧米では有名で、いわば植村直己さんのような存在なのか。物語は、なぜか、この2人が出会い互いに刺激し合う様子が歌で綴られ、ときには客席におりて交流するシーンも登場する。また、厳寒を象徴する冷蔵庫がキーワードになっているのもおもしろい。
目を見張るような趣向、ダイナミックな展開は少ないが、日本では作品の存在を知る人があまりいないなか、松竹ブロードウェイシネマという企画がるからこそ、こうして観ることができるのは嬉しい。
〈ストーリー〉子育てと作曲家としてのキャリアとの両立に奮闘するシングルマザー(ヴァレリー・ヴィゴーダ)が、20世紀を代表する伝説の冒険家アーネスト・シャクルトン(ウェイド・マッカラム)と時空を超えて運命的に出会う…。
〈キャスト〉ヴァレリー・ヴィゴーダ、ウェイド・マッカラム。
〈スタッフ〉演出・リサ・ピーターソン 脚本・ジョー・ディピエトロ 作曲・ブレンダン・ミルバーン 作詞・ヴァレリー・ヴィゴーダ 監督(シネマ版)・デイヴィッド・ホーン プロデューサー・ボニー・コムリー、ジオ・メッサーレ エグゼクティブ・プロデューサー:スチュワート・ F・レーン
配給:松竹 BroadwayHD/松竹〈米国/2017/ビスタサイズ/88分/5.1ch〉 日本語字幕スーパー版
ⒸJeff Carpenter ©BroadwayHD/松竹