「カルメン故郷に帰る」
  2024年8月17日~25日  新橋演舞場
9月5日~17日  大阪松竹座
 この他、仙台、名古屋、鹿児島、熊本でも公演
 木下恵介が脚本・監督、高峰秀子が主演した映画「カルメン故郷に帰る」(1951年)。ビデオなどでは観ていたが、今年3月に開催された「おおさかシネマ・フェスティバル」で初めてスクリーンで観ることができた。日本最初の総天然色(カラー)長編映画とあって、カルメンの華やかな衣裳と牧歌的なコントラストに惹きつけられた。
 その作品が藤原紀香の主演で初めて舞台化される。7月10日には藤原が来阪、南海電鉄なんば駅で1日駅長を務め、和歌山県庁で岸本周平知事に表敬訪問するなどのイベントが行われた。さらに、カルメンを意識した真っ赤なドレス姿で、記者会見にのぞんだ。
 「紀香」というのは本名。和歌山生まれの両親が、故郷を代表する紀の川から命名されたという。
「おじいちゃんから『鮎は香魚(こうぎょ)と言うから、お前は紀の川の鮎〟なんやで』とよく言われてました。いまでも鮎を食べるたびに天国のおじいちゃんを思い出します。子供の頃は田植えや収穫のお手伝ったりして、収穫したものと一緒にトラックの荷台に乗って帰ったりもました。いまでは交通違反でできないことですけどね(笑)。それからザリガニ釣りに行ったり、クワガタを見に行ったりして…。大人になってからも熊野古道や白浜のアドベンチャーワールドにも行ったりしています。思い出がいっぱいあるところです」と懐かしそうに話す。映画ではカルメンの故郷は上州北軽井沢(群馬県)の浅間山のふもとの村だったが、舞台版では和歌山に変更。セリフも「浅草の踊り子チームと話す時は関東弁ですが、故郷に帰って家族や村人たちに接する時は関西弁で話します」。
映画では踊り子という表現で、レビュー?ショーダンサー?ストリッパーと職業をあえてあいまいにしていた。それでも、当時は人前で歌や踊りを披露する仕事には偏見があり、それが作品の大きな軸になっていた。会見では、藤原の口から何度か「ストリッパー」というワードが飛び出した。時代設定はそのままではあるが、職業を明確にすることでカルメンの自負、父親をはじめとする周囲のとまどいが、より浮き彫りになるだろう。
「銀座を歩いている時は田舎娘というのを隠して、都会の女よとアピールしながら生きていた人物。当時は差別や偏見があるなかで、踊り子というなかなか選ばない職業を選び、自信をもって『私は芸術家よ』」と言える強さに、元気をもらえます」と話す。マリリン・モンローにあこがれているという設定で、「モンローの歌も披露します」。
〈あらすじ〉和歌山県紀の川村。 自然豊かでのどかな村に、リリイ・カルメン(藤原紀香)と朱美 (横山由依)がやって来る。 東京でストリッパーとして働く彼女たちは、休暇も兼ねてカルメンの故郷に里帰り。帰省のひとつの目的でもあった初恋の人・春雄 (徳重聡)との再会に喜ぶも束の間、 春雄がすでに結婚していたことを知り落胆するカルメン。そこへ村長(渋谷天外)やカルメンの父・正一 (石倉三郎)がやってきて、穏やかな村の風景に似つかわしくない2
人の風貌に猛反発。村のお祭りで騒ぎを起こし正一から勘当されてしまう。
一方、村では村長選挙の真っ最中。 金儲けが大好きな丸十運送社長の丸野十造 (福田転球) は、村に国道を開通させ観光地化させる公約を掲げ選挙活動に精を出しています。さらなる人気取りのため、村でストリップショーを計画するのですが、乗り気な朱美に対しカルメンには何やら考えがある様子。 果た
してショーの行方は···。
 70年以上の名作が、現代で色鮮やかによみがえることになる。
脚本・羽原大介、演出・錦織一清、音楽・岸田敏志
〈キャスト〉藤原紀香、横山由依、徳重聡、福田転球、石倉三郎、渋谷天外、加藤虎ノ介、渋谷天笑、惣田紗莉渚、月丘七央、北川尚弥ほか。

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