「「FERRARI  フェラーリ」
    2024年7月5日)TOHOシネマズ梅田ほか全国ロードショー
 
〝車オンチ〟の私でもフェラーリという名称は知っている。スーパーカーの代名詞として、この車を所有することはステイタスの証。ということで、自分とは〝遠い存在〟で無縁のものと思っていた。しかし、それを生み出したエンツォ・フェラーリ(1898年~1988年)という人物を描いたこの映画を観て、ぐっと身近な存在になった。
 映画公開のタイミングにあわせて、衛星放送「ヒストリーチャンネル」で彼のドキュメンタリーが放映された。当たり前のことだが…、映画そのまま! それほどに彼の人生はドラマチックであり、メカニックから想像する冷静、クールではなく、どろどろとしたヒューマンな要素が満載、そういった意味で、車好きだけでなく、人間ドラマとして楽しめるだろう。
 ビジネスでは、トップを目指すすさまじい執念。その一方で、家庭では、強い性格の妻との関係は冷えていながらも、若くして亡くなった長男への悲しみを常に抱えている。そして、妻以外の女性とも「家庭」を持ち、息子をこよなく愛している。そんな様子は、程度の大きさは違うとはいえ、多くの人にもある喜びと悲しみを象徴している存在でもある。
 主演のアダム・ドライバーは、そうした感情をあまり外に出すことなく、たたずまいでそれを表現している。そのぶん、仕事での冷徹さと愛人との暮らしで見せるおだやかな夫、父親の表情とのギャップが、人間像を浮き彫りにしている。一方、妻は夫を叱咤激励し、姑と対立する「強さ」が強調されている。彼女を演じるのはペネロペ・クルス。多くの作品でみせる妖艶な雰囲気を〝封印〟している。ただし、離婚を話し合っているなか、妻の「私の銃を返して!」と意味深な言葉をきっかけに互いに欲情が芽生え…というのは、なかなかリアル。
 こういった実話に基づいてドラマと共に、随所に登場するカーレースが大きなみどころ。まさに、「この人に歴史あり」。
〈ストーリー〉1975年、夏。イタリアの自動車メーカー、フェラーリの創始者エンツォ・フェラーリ(アダム・ドライバー)は激動の渦中にいた。業績不振で会社経営は危機に瀕し、1年前の息子ディーノの死により妻ラウラ(ペネロペ・クルス)と の夫婦関係は破綻。その一方で、愛するパートナー、リナ・ラルディ(シャイリーン・ウッドリー)との間に生まれた息子ピ エロを法的に認知することは叶わない。再起を誓ったエンツォは、イタリア全土1000マイルを走るロードレース「ミッレ ミリア」にすべてを賭けて挑むー
〈スタッフ〉
監督:マイケル・マン(『ヒート』)
脚本:トロイ・ケネディ・マーティン
原作:ブロック・イェイツ著「エンツォ・フェラーリ 跳ね馬の肖像」
出演:アダム・ドライバー、ペネロペ・クルス、シャイリーン・ウッドリー、パトリック・デンプシー
2023年|アメリカ|英語・イタリア語|カラー・モノクロ|スコープサイズ|原題:FERRARI|字幕翻訳:松崎広幸|PG12
www.ferrari-movie.jp
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配給:キノフィルムズ
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