「インサイド・ヘッド2」
2024年8月1日公開)
(ディズニーの試写会にて)
主人公は、白人の女の子ライリー。第一作と同じ少女だが、成長して今は高校進学をひかえている。1日のうちで一番楽しいのは、2人の親友と同じチームでホッケーをしている時だ。一人っ子で両親とも仲が良いが、やっかいな思春期がやって来て・・・とこんな風にドラマは始まる。2015年に公開された前作「インサイド・ヘッド」の設定もそうだったが、映画の中のライリーの頭の中には、ヨロコビ、カナシミ、ムカムカ、ビビリ、イカリなどの感情たちが住んでいる。感情たちはそれぞれ、カラフルなキャラクターで表現されていて、ライリーの頭の中のコントロール・ルームにスタンバイして、ライリーの行動をコントロールしている。
今回のパート2では、思春期に入ったライリーの成長に合わせて、大人の感情と称して新しい感情たちが加わり、ライリーをより複雑に変化させる。初登場のお婆ちゃんの姿をした感情は、柔らかい物腰でライリーの頭のコントロール・ルームに、突然、現われては引っ込む。
このお婆ちゃんが登場するようになると、人は老境に達して、悩むことも怒ることも少なくなり、凪の海のように穏やかな日々が送れるらしい。しかし若いライリーにはまだ必要ない、と、他の感情たちがお婆ちゃんをドアの向こうに閉じ込めてしまうので、本作では、きわめて出番の少ない脇役だが、ライリーの中にもともと住んでいる感情なら、締め出さない方がいいのに、と思った。
怒ると歯止めがきかなかったというAppleの元CEOスティーブ・ジョブズは、ヨガで心を整えていたという。ジョブズの中にはこの、お婆ちゃんの感情が不在だったのだろうか。現実ではビジネスシーンでも家庭でも、大人がちょくちょくかんしゃく玉を破裂させたり、周囲の人間を怒らせていたら、つい、感情たちに操られて・・・では澄まない。
劇中のライリーは、つい感情たちに操られて、周囲を困惑させたり、怒らせたりする。彼女のゴンタぶりが見もので、前作に比べて〝科学〟色よりファンタジー色を強めたストーリーだ。
監督は「アーロと少年」「2分の1の魔法」のストーリー・スーパーバイザーなどを務めたケルシー・マン。エグゼクティブ・プロデューサーは前作「インサイド・ヘッド」の監督ピート・ドクター。
(2024年/1時間36分/アメリカ)
配給 ウォルト・ディズニー・ジャパン