「おかしな二人」
2023年5月11日~14日
梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
大地真央、花總まりコンビによるウェルメイド・コメディ。ニール・サイモンによるこの作品は1965年にブロードウェイで初演。潔癖症の中年男を演じてトニー賞主演男優賞に輝いたウォルター・マッソーは、1968年の映画版でも同じ役を演じて、ジャック・レモンとのコンビで、映画史に残るコメディー映画になった。1985年にはそれを女性2人によるバージョンに〝翻案〟さらに2002年には「オスカーとフェリックス」という改訂版も発表。日本でも、「おかしな二人・女性版」として、これまでに汀夏子と辺見マリのコンビ(1988年)などで上演。大地・花總という宝塚OGコンビでは2020年に続いて、今回が再演となる。
男性を主役にした作品を女性に置き換えたものでは、「男の花道」を「女の花道」、「鼻の六兵衛」を「はなのお六」などを思い浮かべるが、同じように原点との違和感はない。というより、大地が演じるオリーブは1980年代当時、先端をいっていたテレビキャスター、花總が演じるフローレンスには男性への依存ぶり、当時の女性の立ち位置がうかがえて、男性版とはまた違う作品になっている。
壁には「雨に唄えば」「イースター・パレード」などミュージカル映画ポスターが張られたひとり暮らしの部屋は、古新聞や雑誌が散らかり衣服などが脱ぎっぱなし。そこへ、病的なまでにキレイ好きなフローレンスがやってきて、同居を始める。ニール・サイモン作品特有のちょっとだけ毒気がある洒落た言葉の応酬。大地のメリハリのきいた語調に、花總の少しおっとりとした言葉遣いが、おかしなコントラストを醸し出している。同じマンションの上に住むメキシコ兄弟との〝合コン〟のシーンでは、4人の混乱ぶりがさらに笑いを増幅する。
時間の流れによって家具の設置や片づけ具合が違い、場面転換のためにいったん幕が下り、その間に幕前で他の登場人物のやり取りが。このあたり、日本での商業演劇の定番を思い浮かべてしまう。ここは、もう少しスマートな場面転換の工夫が欲しかった。
物語が終わり、宝塚OGらしく2人が華やかな衣装で歌うフィナーレ付き。ニール・サイモン作品は時代やセキシュアリティなど柔軟に変化し、色あせない。
〈ストーリー〉マンハッタンで暮らすオリーブの部屋に、夫から離婚を切り出されたフローレンスがやって来て、2人は同居を始める。ところは、フローレンスは病的なまでにキレイ好き。正反対の性格の二人は共同生活の中で、当然のごとく衝突を繰り返す…。