映画「屋根の上のバイオリン弾き物語」
2023年4月22日からシネ・ヌーヴォで公開

1971年に公開されて大ヒットしたミュージカル映画「屋根の上のバイオリン弾き」の魅力を辿ったドキュメンタリー映画「屋根の上のバイオリン弾き物語」(アメリカ、パンドラ配給)が、大阪のシネ・ヌーヴォで上映されている。カナダ出身の名匠、ノーマン・ジュイソン監督や音楽のジョン・ウイリアムスらスタッフと主演のトポルらのインタビューを交えた楽しい作品になっている。
まずノーマン・ジュイソン監督の功績が大きい。すでに「夜の大捜査線」(67年)でアカデミー作品賞とロッド・スチュワートに主演男優賞をもたらした実績はあるが、監督賞はノミネートだけでその後も含めて受賞はない。今回のドキュメントで監督のダニエル・レイムが言いたかったのはそれのような気がする。スティーブ・マックイーン主演の「シンシナティ・キッド」「華麗なる賭け」のほか「ジーザス・クライスト・スーパースター」「月の輝く夜」など名作も数多いのだ。
ジュイソンは今年96歳になるがカクシャクとしておりインタビューに応えて撮影の裏話を笑顔で振り返り、音楽のジョン・ウイリアムスらスタッフも名作の影にジュイソンの存在があると力説する。主演のトポルはアメリカブロードウェイ版ではなくイギリス版の舞台にテヴィエの役で出ていた時にジュイソンに誘われて映画に出た。ウクライナに住むユダヤ人家族の物語で、その村を出て行かなければならない一家の悲劇が描かれた。
妻と5人の娘に囲まれて暮らすテヴィエ。長女役のロザリンド・ハリスもインタビューに登場しウクライナのアナテフカを舞台にした撮影を振り返る。実際の撮影はユーゴスラビアで行われたそうで、今その国名はない。ユダヤ人家族の話であるが、異教徒のジュイソンはこの映画を撮りたくて志願したと明かす。「サンライズ・サンセット」の名曲が流れるエンディング近くになって、場面は1999年のアカデミー賞表彰式になり、ジュイソンがアービング・G・タルバーク賞(功労賞)に選ばれステージに登場する。ジュイソンが踊り語る言葉が感動的で素敵だ。
日本では森繁久彌、西田敏行、市村正親がテヴィエを演じた舞台でよく知られている。
写真は映画でインタビューに応えるノーマン・ジュイソン監督(C)2022 Adama Films, LLC
※この映画は、辻則彦もアップしています。

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