「グリーン・ナイト」

14世紀の叙事詩「サー・ガウェインと緑の騎士」を「さらば愛しきアウトロー」のデビッド・ロウリーが脚色して映画化。勇敢な騎士になるため、主人公が経験する通過儀礼が7章立てで描かれる。物語の主人公・ガウェインは、アーサー王の甥。叔父と違って、どこにでも居そうな平凡な青年だ。強い騎士になることを夢見るガウェインは、あるクリスマス、異形の騎士と命がけのゲームを始めることに。
本作は話題作連発で人気の米・映画会社A24の作品だ。同じA24が制作した「ライトハウス」でも、男らしさの権化みたいなキャラクターはかなり否定的に描かれていたが、デヴ・パテル演じる本作の主人公は、ちっとも男らしくない。ゲームは騎士になるための試験みたいなもので、メンタルが弱いガウェインはたびたびくじけ、映画はその課程を見せる。インドをルーツに持つ英国俳優デヴ・パテルは「LION ライオン 25年目のただいま」での演技が評価されたが、本作でもそんな親しみやすい青年の葛藤を難なく演じた。パテルはアカデミー作品賞を受賞した「スラムドッグ$ミリオネア」で映画初出演にして主演にキャスティングされたことでも有名だが、寓話の主人公を演じるのに、これほどピッタリな人物はいない。
映像には日本の漫画からの影響も散見されるが、細田守監督が「竜とそばかすの姫」で、ディズニーの「美女と野獣」へのリスペクトを盛り込んだように、これは東西の交流の産物と見るべきだろう。主人公が権力欲に溺れる場面を描いた場面は、今まさにプーチン大統領が辿ろうとしている失脚への道のりを連想させ、予言的な脚本とも読める。クリスマスに観るのにふさわしいシャレたファンタジーだ。

(2021/アメリカ・カナダ・アイルランド/130分)
11月25日全国公開

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