「モダン・ミリー」
2022年10月1日、2日 大阪・新歌舞伎座

ミュージカルスターとして一世を風靡したジュリー・アンドリュースの同名映画をかつて観た。しかし、正直なところ、彼女の〝モガ〟(モダン・ガール)ファッションのビジュアル以外、物語などをほとんど覚えていなかった。その映画を基に、ブロードウェイで舞台化され、それが今回、宝塚の元トップスター・朝夏まなと主演で日本でも上演された。
冒頭のオーケストラの生演奏によるオーバチュアから、軽快なタップダンスとテーマ性よりもエンタテインメントを軸にした往年の〝華やかなミュージカル〟
を展開。タップの音を小気味のいいタイプライターの音に例えるなど、これこそミュージカルというプロの技が光る。
田舎から「就職したボスと結婚する」ため?にニューヨークに出てきたミリーをはじめ、わかりやすいキャラばかり。観客がついていけなくなる危険もあるが、それらを朝夏、ちょっとカマトト風の女性に扮する実咲凛音ら、実力派が〝快演〟しているので、それぞれのキャラが無理のない、ドラマの伏線になっている。
例えば、ホテルを経営して「人身売買」する中国人風の女性。あいにく、双眼鏡で持ってこなかったので、最初はそれがアノ人とはわからなかった。一路真輝。「エリザベート」など悲劇のヒロインが多い彼女が、イメージを払拭。楽しんで演じているのが伝わってくる。後半、若く変装してその犯罪の〝おとり〟となる世界的歌手を演じるのは、保坂知寿。個人的に言うと、一路(元・宝塚)、保坂(元・劇団四季)とも何度も取材をしてスターで、うれしい〝夢の競演〟。さらに、タイピストの〝お局さん〟を「ミス・サイゴン」の入絵加奈子と、なんともぜいたく!
ミュージカル界の時の流れに少し感慨はあるが、そうした強い支えが完成度を高めいるのを実感する舞台だった。

ミュージカル『モダン・ミリー』|公演情報|新歌舞伎座 (shinkabukiza.co.jp)

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