「地方の時代 映像祭フォーラム in メイシアター」
関西発TVコメディの源流を見る

2022年6月8日
吹田 メイシアター 小ホール
「当たり前田のクラッカー」。このフレーズを覚えている人も多いだろう。朝日放送が制作、全国放送された「てなもんや三度笠」(1962年~68年)は一世を風靡。私もまた、毎週日曜午後6時に〝ブラウン管〟を熱中していた1人だ。藤田まこと、白木みのるら出演者はすっかり「身近な人物」になったが、それが澤田隆治(さわだ・たかはる)氏という社員(ディレクター)の功績だとは、後年にエンタメを取材するまでは知らなかった。さらに、晩年の香川登志緒氏(脚本を担当)とは、道頓堀・中座の事務所で気安く話していたが、そんな〝えらい人〟だったとは…。恥ずかしながら、後にいろいろな書物、情報で知った。
このフォーラムは「てなもんや三度笠」をキーワードに、60年代に隆盛を誇った関西発のコメディ番組を分析するという企画だった。客席は高齢者が多く、正直を言ってフォーラムの要素より、懐かしの番組を振り返る…ということになるのでは?と危惧したが、そうはならなかった。その大きな要因は、ゲストに90歳で現役の大村崑を迎えたこと。森繁久彌、伴淳三郎ら亡き名優のエピソードは興味深く、「観客の期待」に応えた。さらに、「テレビ局のストライキによって、東京で制作されるようになったのが、関西発が少なくなった原因」という彼の指摘は、現場にいた立場ならではの証言だった。また、「当時の舞台では、休演する俳優が多く、私ら若手は舞台袖で『その時』のために、先輩たちのセリフや芝居を覚えていた」と振り返る。もちろん、名をあげるためでもあるが、「代役で出演すると、休演した人の日当ももらえたから」というのも、役者を生業とする人のリアルないい言葉だった。

フォーラム開催のお知らせ | 開催案内 | 「地方の時代」映像祭 (chihounojidai.jp)

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