「大河への道」
2022年5月20日公開
全国の自治体は、どこも「町おこし」に懸命になっている。そのなかで最も効果が大きいと思えるのが、NHK大河ドラマの舞台に選ばれること。そう、この映画は、大自然のなかで悠々と流れる「大河」ではなく、「大河ドラマ」への道を描いたもの。
原作は、江戸落語の立川志の輔による新作落語で、これを聴いた中井貴一(主演)が映画化を熱望して実現したという。新作(創作)落語を基にした映画と言えば、桂文枝(当時・三枝)の「ゴルフ夜明け前」(1987年)や志の輔の「歓喜の歌」(2008年)がある。どちらも、既存の脚本家では思い浮かばないだろう落語家ならではの発想にあふれている。
この映画は、千葉県香取市の有名人で、「日本初の地図」を完成させた(という)伊能忠敬がキーパーソン。「大河ドラマ」でその偉業をスケール豊かに描いてほしいと思っていたのだが、意外の歴史の真実が明らかになっていく。
物語は現代の香取市役所と江戸時代という2つの時間が登場する。ただし、演じている俳優は、そのどちらにも登場するというのが、おもしろいところ、せっかくそれぞれが「2役」を演じるのだから、1人の俳優の役柄がクセなども含めて、もっと〝近いキャラ〟にすれば、よけいに親近感が出たのでは?とも。
とはいえ、いまではあまり語られることがなくなった伊能忠敬という存在を思い出させてくれ、落語のもつ人情も伝わってくる大人の映画だ。
タイトル:『大河への道』
■公開表記:5月20日(金)全国ロードショー
■配給:松竹
■コピーライト:©2022「大河への道」フィルムパートナーズ